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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

小学校入試における父親の役割

第518号 2016/2/12(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会では、父親のための勉強会である「土曜ゼミ」を年5回実施していますが、今年度の第1回目を先日開催しました。昨年度から参加者が急増し、「こぐまクラブ」では収容しきれなくなったため、セミナーの場所を変更して行いましたが、今年は昨年をさらに上回る人数となりました。毎回、その時期にふさわしいテーマで、お父さま方に入試情報と家庭学習の方法をお伝えしていますが、今回は今年度の第1回目であるため、昨年秋に行われた入試の実際をさまざまな角度から分析し、お伝えしました。私の講演の後、すでに入試を経験したOBの方から、合格者からのメッセージとして、これから入試を迎えるお父さま方に「受験における父親の役割」等についてお話ししていただきました。合計2時間のセミナーを終えた後、懇親会に移り、職員・OBを交えた交流会を行いました。

はじめてこうした集まりに参加されたお父さま方は、同じ想いの方がこんなに大勢いることに驚き、また、OBの方の「お父さまにとっての小学校入試」の体験から、いろいろなことを学ばれたようです。懇親会の最後に、参加者ひとりずつの自己紹介がありました。
  • これから入試まで、どんな生活を送ればよいのか
  • 父親がすべき役割は何なのか
  • 母子関係の悪化をどう改善したら良いのか
  • 精神的に追い詰められている母親をどうサポートしたら良いのか
  • 学校選択のポイントは何なのか
  • 志望校の選択にあたり、意見の食い違いをどう調整していけばよいのか・・・
等、父親の立場での悩み事も、参加者の皆さまで共有できたようでした。

受験を経験されたOBのお父さまからお話し頂いた「父親の役割」については、それぞれのご家庭で状況は違うと思いますが、
  1. 母親の精神的なサポートをしっかりしてあげる
  2. 父親と母親の役割は、よく話し合って決めておく
  3. 子どもと共にする時間をできるだけたくさんつくり、話を一杯聞いてあげる
  4. 時間の許す限り、子育てに積極的に関わる
こうした点についての貴重な意見を聞くことができました。
この土曜ゼミを行うようになってすでに5年以上たちますが、年々父親主導の受験対策がなされるようになってきており、子どもの精神的な安定のためには、とても大事なことだと思います。
小学校入試における父親の役割は、それぞれのご家庭で決めればよいことですが、学校側が求める「父親像」も、時代を反映して変わってきていることは事実です。その変化は、面接試験での父親に対する質問事項を見れば一目瞭然です。昔は、母親には「子育て」のことに関する質問、父親には仕事のことや社会で問題になっていることをどう考えるのか等の質問と役割は決まっていました。しかし、最近の面接では、子育てにどれだけ関わっているかについての質問が増えています。そこに、学校側が父親に求めることの変化が読み取れます。
その具体例を、2016年度入試の父親に対する面接質問例から見てみましょう(主要女子校10校から)。

(1) ご自身が小さい頃に受けたしつけで、今大事にしていることはありますか。
(2) 家族の宝物について、お子さまと話し合ってください。
(決まった内容を子どもが先生に伝え、その後も質問がつづく)
(3) 社会人になって、子育てで何か役立っていることはありますか。
(4) お子さまが成長したと感じるのは、どのような時ですか。
(5) お子さまとどのようなことをして遊びますか。
(6) お忙しいと思いますが、お子さまとどのように関わっていますか。
(7) お父さまと遊んでいる時、お子さまが一番喜ぶ好きな遊びは何ですか。
(8) 幼稚園(保育園)のお友だちで名前を知っている子はいますか。
(9) お子さまが将来何になりたいか知っていますか。
(10) お子さまと幼稚園の話をされますか。
(11) お子さまが目を輝かせているのは、どのような時ですか。
(12) お休みの日は、お子さまとどのように過ごしていますか。
(13) お子さまとどのようにコミュニケーションをとっていますか。
(14) お子さまと過ごす時間をどのようにつくっていますか。
(15) 子育てにはどのように関わっていますか。

社会問題についても、まったく聞かれなくなったわけではありませんが、やはり子育てにどれだけ参加されているかを見られていることは間違いありません。学校側が求める父親像を見れば、これから父親として何をどうすべきか、自ずからわかってくると思います。その意味でも、入試を経験されたOBの皆さまの意見は大変貴重なものでした。

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