週刊こぐま通信
「室長のコラム」学校別分析セミナーが始まりました
第515号 2016/1/22(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

昨年12月7日(日)に行われた「私立小学校入試結果報告会」を踏まえ、1月17日(日)から「学校別入試分析セミナー」が始まりました。これから24日(日)、31日(日)、2月11日(木・祝)と、1日4校ずつ実施していきます。セミナーの内容は学校によって多少違いますが、大体次のような視点でまとめています。
(1) 全体総括
2016年度入試概要
試験日・倍率・補欠合格者の動き
テスト問題領域表
合格者のテスト履歴
試験日・倍率・補欠合格者の動き
テスト問題領域表
合格者のテスト履歴
(2) 問題分析
傾向を読む
何が変わり、何が変わらないか
すべてのペーパー問題の解説
行動観察
面接
何が変わり、何が変わらないか
すべてのペーパー問題の解説
行動観察
面接
(3) どんな考え方で入試対策を進めればよいか
特に今回のセミナーでは、(2)の問題分析に力を入れて行います。子どもたちからの聞き取り調査を踏まえて、具体的な問題に書き起こしたものを紹介していきます。また、その一つ一つの問題の出題の背景を分析し、難易度も評価します。その上で、学校側の意図と、子どもにとって何が難しいかをしっかり分析し、家庭で何を学習すればよいかを伝えます。ペーパー問題だけでなく、行動観察の内容や面接試験の内容も詳しく伝え、学校側がなぜ学力以外のそうした「非認知能力」を重視しているのかも伝えました。面接試験の内容も多岐に渡り、学校によって独自性がありますが、ある学校で出された以下のような面接内容をみると、やはり10年前とは相当変化し、工夫された質問が出されていることがわかります。
- 父親に向けて
- 学生時代から社会人になって、子育てで役に立っていることはありますか。
→ お子さんの1番仲の良いお友だちの誕生日プレゼントをあげる相談をしてください。
→ 決まった内容を子どもが先生に伝える。→発展 - 日常生活において、仕事面も含めて大切にしていることはありますか。
→ 今度のお休みの日に、家族でどこに行きたいか相談をしてください。
→ 決まった内容を子どもが先生に伝える。→発展 - 子どもは親の背中を見て育つと言いますが、どのように見せていますか。
→ 小学校に入って、何を頑張りたいか話し合ってください。
→ 決まった内容を子どもが先生に伝える。→発展 - ご自身が小さい頃に受けたしつけで、今大事にしていることはありますか。→発展
→ 家族の宝物について2人で話し合ってください。
→ 決まった内容を子どもが先生に伝える。→発展
- 学生時代から社会人になって、子育てで役に立っていることはありますか。
- 母親に向けて
- お子さんの良いと思うところを1つ教えてください。
→ 命の大切さをお子さんに伝えてください。
→ 母親の説明が伝わったかどうかを子どもに確認される。 - お子さんが最近頑張っていることを教えてください。
→ 正直さについてお子さんに教えてください。
→ 母親の話を聞いて、これからどうすればよいと思うかを子どもに確認される。 - お子さんの好きな食べ物は何ですか。
→ 優しい心について、お子さんにお話ししてください。
→ 母親の説明が伝わったかどうかを子どもに確認される。 - お子さんの好きなお話は何ですか。
→ 約束を守る大切さについて、お子さんにお話ししてください。
→ 母親の話を聞いて、これからどうすればよいと思うかを子どもに確認される。
- お子さんの良いと思うところを1つ教えてください。
従来から面接の基本は、父親には社会的な問題をどう考えるかを問いかけ、母親には子育てに関する事項を聞くというのが一般的でしたが、現在は、父親にも母親にも子育てに関する具体的な質問をします。また、ある場面を想定し親子の会話を面接官の前で再現することによって、日常的な親子関係や家庭の雰囲気をつかみ、学校の教育方針と合うのか合わないのかを判断しているように思えます。
何を答えたか、どう答えたかが問題なのではなく、さまざまな場面を設定し、そこでのやり取りを通して家庭の子育ての様子を伺うというのが、今の面接の主流になっています。学年が低ければ低いほど、学校と家庭が協力して子どもたちを育てていかなければならず、学校の教育方針にふさわしいご家庭を発見しようと努めていることが良くわかります。面接重視の傾向は今後も続くはずです。答えを丸暗記して臨むような面接では、家庭らしさは伝わりません。その意味で、形を覚えこむ受験用の面接練習などは、全く意味がありません。