週刊こぐま通信
「室長のコラム」広島で「こぐま会の授業」がはじまります
第467号 2015/1/16(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

1月12日の午後、広島市南区民文化センターにおいて、「幼児期における基礎教育と広島の小学校受験」と題した教育講演会を行いました。今年度より「大木スクール」と提携し、「大木スクール こぐま会広島校」 として年中・年長クラスを開講することになりました。開講に先立ち、「KUNOメソッド」による教育内容と教育方法を具体的にお伝えする会を開催した次第です。連休最後の祝日にも関わらず、会場がいっぱいになるほど大勢の皆様にお集まりいただき、こぐま会の教育を紹介させていただきました。
- 幼児期における基礎教育と広島の小学校受験
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A) 授業風景紹介
B) KUNOメソッド3つの基本理念教科前基礎教育
事物教育
対話教育C) 教育内容6領域指導
未測量 / 位置表象 / 数 / 図形 / 言語 / 生活D) 教育方法KUNOメソッド三段階教授法 同じテーマを3つの方法で学習する
体を使い(集団活動)
手を使い(個別学習・試行錯誤)
頭を使い(ペーパートレーニングによる内面化・抽象化)E) 家庭学習の重要性F) 広島における小学校受験の問題傾向とその対策
広島市の小学校受験は、広島大学附属小学校・広島大学附属東雲小学校・安田小学校の3校を中心に行われていますが、入試対策のほとんどがペーパートレーニングのみによる準備教育のようです。そうしたやり方に疑問を持っている保護者の皆さまが大勢いらっしゃることもわかりました。また会場には、受験は考えていないけれど、幼児期の教育の大切さを感じているご家庭の皆さまも大勢参加されていました。私は、40年間に及ぶ指導体験を踏まえ、幼児教育の大切さをお伝えし、これからなされようとしている国家レベルの教育改革において、幼児期の教育改革がまともに行われるかどうか、大変危惧しているということをお伝えしました。「読み・書き・計算」に象徴される知識の詰め込みが幼児期から行われてしまうと、今世界的な流れになっている「考える力を育てる教育」とは正反対の教育になってしまう危険性があることを指摘し、KUNOメソッドの中心である、「事物教育」「対話教育」による幼児期の基礎教育の大切さをお伝えしました。その上で、ペーパートレーニングだけでなく、まともな方法で受験対策をとることをお勧めしました。
ご参加の皆さまから頂いたアンケートの中から、貴重な意見や感想をいくつかご紹介させていただきます。
- ペーパーメインではなく、体験してみての学習が素晴らしいと思います。
- (映像をみて)実際に行われている授業の内容がとても参考になりました。
- ペーパー中心の学習に疑問を感じていたので、とても興味深く話を伺うことができました。
- 実際に行う、具体物を使う、そういうことによって理屈が分かっていく。ペーパー学習とは違うので、問われ方が違っていても対応できるということにとても納得した。
- 知識だけなく、実際の体験、ペーパーに行きつくまでのプロセスが大事であるということがよくわかりました。また、幼児教育が小学受験のためだけではなく、将来の基礎づくりのためであるということも理解できました。
- 実際に教育に携わりながら改良を重ねてきた教材であるということで安心しました。
- 教科前基礎教育の考え方に共感しました。
- 幼児期において、教具などを用いていろいろと経験すること、それが学力の土台になるのだとあらためて感じました。
- 幼少期の体・手・頭を使った経験が、小学受験だけでなく後々にも役立つことがわかりました。
- 遊びも大切、でも教育の力を信じたいとおっしゃった先生のことばがとても印象に残りました。
- 事物教育の重要性がよくわかりました。
- 私自身は、幼児教育イコールプリントの大量つめこみという考え方でしたので、非常にアレルギーがございました。一方で体験を通して考える力を培うことの重要性を感じておりましたので、貴塾が取り組まれる内容に大変共感しました。
- 広島の子どもたちに学ぶ楽しさを伝えて頂きたいと思いました。
- 教科前基礎教育ということに非常に共感できました。一昔前は家庭で行えていたことがなかなかできないと感じております。
- 遊びを越えた教育というところまで行くには専門の知識を得た先生方にお任せする方法もあると感じました。
最近は、「教育格差」が盛んに言われています。経済的な理由による格差だけでなく、地域による「教育格差」をなくすためには、幼児期からきちんとした考え方の教育が公教育として行われていかなければならないと思います。東京生まれの「KUNOメソッド」が、地方の子どもたちにも意味のある教育メソッドとして成り立っていくためにも、広島における実践活動の経験が、また新たな地平を切り拓いていくことを期待しています。そのためには、私たち教師も子どもたちから学ぶ姿勢を持ち続けていかなければならないと思います。