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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

新傾向の問題に挑戦を

第449号 2014/8/29(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 最近の小学校入試では、洗練された良い問題がたくさん出されています。昔のように何十枚ものペーパーを課すのではなく、6枚前後のペーパー試験で子どもの「考える力」をみるために、試験担当の先生方は問題作りに相当力を入れているように思います。機械的なトレーニングでできてしまわないように、オリジナルな問題を作ろうと知恵を絞っています。しかしそうした問題は、形こそ違え、従来の問題を発展させた良い問題ばかりです。その多くが、私たちが20年かけて現場からの発想で作りだしてきた「ひとりでとっくん」シリーズ100冊の3,000枚のペーパーの中から出されていることは明らかです。そこで求められている幼児期における思考力を、工夫された問題で点検しようとしているのです。ですから、この3,000枚のペーパーが生まれてきた教育内容、つまり事物教育による「教科前基礎教育」の中味を徹底することによって、まったく新しい課題も自分の力で解いていけるのです。しかし、この3,000枚のペーパーを繰り返し何回もやって、解き方を教え込んでしまおうという方法を多くの受験生のみなさまがとられているようですが、それはナンセンスな方法です。3,000枚のペーパーで求められる「考える力」を、具体物を使った方法で身につけなければ、本当の意味で身についた「思考力」にはなりませんし、まったく新しい問題に対処できるだけの応用力は身につきません。ペーパー主義の間違いは、解き方を教え込む指導法がいかに子どもたちの思考を停止させてしまうかという点にあります。具体物は、自ら働きかけて試行錯誤しながら問題を解いていくわけですから、そこにこそ「考える力」が定着していく最大のチャンスがあるのです。その機会を奪ってしまったのでは、「考える力」は身につきません。これでは答えの根拠を説明できませんし、現在のよく練られた問題に対処することはできません。

ところで最近の入試問題を見ると、ある学校で出された新しい問題が他校に波及するスピードが速くなってきたように思います。以前は3~4年かかって他校に波及していたものが、最近ではある学校で出された問題が次年度に他の学校で出されるようになりました。それだけ、問題を作成する先生方は、他校の問題も研究している様子がうかがえます。こうした形で「新傾向の問題」が形づくられているのです。40年近く小学校の入試問題を分析してきた立場から見ると、現在の入試における新傾向の問題は、次の12の項目にまとめられます。

(1) 交換
(2) 言葉づくり
(3) 大きさの異なる三角形を基本とした図形構成
(4) じゃんけんによる関係推理
(5) 飛び石移動
(6) 個別単位の考え方
(7) つみ木を使った四方からの観察
(8) 言葉つなぎ
(9) つりあいの応用問題
(10) 正方形を基本とした図形構成
(11) 一場面を使った数の総合問題
(12) 線対称

夏休みの講座では、この12の項目を徹底して学ばせました。おそらく今年もこの中から、工夫された新しい問題が出されるはずです。基本的な理解をもう一度確認し、受験レベルの問題に繰り返し挑戦させてください。遅くとも9月半ばまでに完成させないと、難関実力校の合格は難しいでしょう。

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