ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

図形問題はどのように変化しているのか

第429号 2014/3/21(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 3月18日に、第3回合格カレンダー連続講座を開きました。今回のテーマは、「新傾向の図形問題にどう対処するか」です。最近の入試では、数領域の問題が減って、図形領域の問題が多く出されています。問題の傾向も以前と変わり、思考力を要する難しい問題が出されるようになっています。そこで今回のセミナーでは、最近の入試傾向を具体的に分析し、どんな学習が必要かをお伝えしました。

2015年度入試対策 合格カレンダー連続講座 第3回
「新傾向の図形問題にどう対処するか」
1. 新傾向の図形問題 - どんな能力が求められているか -
A. 入試問題をどう分析するか
(1) 基本図形の理解(平面・立体)
(2) 同図形発見
(3) 図形模写
(4) 図形構成(平面・立体)
(5) 図形分割
(6) 対称図形
(7) 重ね図形
(8) 回転図形
B. 最近の入試問題における、図形領域の問題紹介と分析
2. 難問対策のために、どんな学習をしたらよいか
A. 子どもにとって何が難しいか
B. 図形的センスを高めるための経験
    その基本は、図形構成 - 図形分割
C. 最近のテーマは、対称・回転・移動

入試における図形課題をどう分析するかについては、こぐま会の日常授業で行っている基礎教育の単元を当てはめて考えました。8項目並んでいますが、ひとつひとつの単元にも難易度があり、学習課題は30以上になるはずです。この観点で入試問題を分析すると、問題の傾向がはっきりし、何を重点的に学習するかがわかります。単元としては、基本から応用へと並んでいますが、それぞれの単元にも基本と応用がありますので、必ずしも易しい順に並べてあるわけではありません。しかし、この順序で学習すれば、間違いなく理解していけるはずです。ところで、従来の入試では、この中の「図形構成」と「図形分割」が図形領域の問題の半分以上を占めていました。しかし、その傾向が最近変わりつつあり、「対称図形」「重ね図形」「回転図形」といった、今までの図形課題の中では難しい応用問題がたくさん出始めています。ですから、その分難易度が高まっていることは事実です。数領域の問題が少なく、かつ易しくなった半面、図形領域の出題が増え、難問化しているというのが、最近の入試の一つの特徴です。
問題をつくる側に立って考えると、数よりも図形領域の問題の方が、独自の問題がつくり易く、訓練で解けてしまうような問題を避けることができ、本当の意味で子どもの思考力を試す問題づくりが可能であるということが言えます。それだけ学校側も問題づくりに工夫を凝らしているということです。では、セミナーで使った32問の過去問の中から、図形構成や図形分割も含め、最近の傾向を示す典型的な問題をいくつか紹介しましょう。

1. 「重ね図形」
左上のお部屋の矢印が指す場所に、それぞれ形を重ねていくと、黒枠の中のような形になります。ただ、この中には間違っているものがあります。それを探してエンピツで×をつけてください。 (1分30秒)
2. 「つみ木の移動」
上のお部屋のつみ木から、2個動かしてできる形を下から探して、青のクーピーで○をつけてください。 (2分30秒)
3. 「回転位置移動」
左のお家が右のように回ると、中の形はどうなりますか。緑のクーピーでかいてください。 (1分30秒)
4. 「推理」
上のお手本を見てください。左のような旗をくるくると回すと、右のような形に見えます。では、お手本と同じように下にある左の形をくるくる回すと、どのように見えるでしょうか。右から選んで青いクーピーで○をつけてください。 (30秒)
5. 「図形構成」
上のお部屋を見てください。左の形を何枚か使って形を作ったとき、できる形に○、できない形に×がついていますね。
同じように、下のお部屋の左の形を使ってできないものをそれぞれ右のお部屋の中から探して、青いサインペンで×をつけてください。 (2分)

1.は、方眼の原理を使った重ね図形です。2.は、移動をイメージし、変化した部分と変化しない部分をしっかり観察できるかどうかが問われています。3.は、回転した時の位置の変化をイメージできるかどうかの典型的な問題であり、4.は、回転によって平面が立体に変化する過程をイメージできるかどうかが問われています。5.は、三角形に変わって、正方形が基本となった新しい形の図形構成です。

こうした問題によって求められている図形的なセンスは、決してペーパートレーニングで身につくものではありません。観察力が求められ、変化に対する敏感さも必要です。また、回転や移動のイメージがしっかり持て、視点を変えてものを観察できる能力も必要です。そうした力を身につけさせるためには、具体物を使って実際にやってみる経験が大事です。難しい問題であればある程、経験によって身につく図形的センスが求められます。折り紙・つみ木・パズルなど身近にあるものを使って、いろいろな経験を積んでください。
数の問題が易しくなっていく半面、図形問題が難問化していく状況を踏まえ、これまで以上に、図形に関する問題をしっかり分析し対策を考えなくてはなりません。

PAGE TOP