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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

幼児期の基礎教育と小学校受験

第347号 2012/7/13(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 今年の私立小学校の学校説明会やオープンスクールも一段落し、受験生にとって最大のヤマ場になる夏休みを迎えます。一方、来年受験を迎える年中児の皆さんも、多くの学校の説明会に参加され、志望校選択に関する情報をきめ細かに集めています。その結果、来年秋の入試に向け、この時期から受験勉強をスタートさせるご家庭が多く見られます。

こぐま会は昨年から、従来11月からスタートさせていた「セブンステップスカリキュラム」を2カ月ほど前倒しし、年中9月からスタートさせました。ステップが終わるごとに2週間の反復トレーニングの時間を設け、少しゆとりを持って基礎学力の定着を図ろうと考えた措置ですが、とても効果が上がりましたので、31期生も9月からスタートさせる方針です。これに伴い、入試までの指導計画を次のように変更しました。

基礎学習の時期
ステップ1~4:年中9月から年長4月まで
応用学習の時期
ステップ5~6:年長5月~7月
総点検の時期
ステップ7:年長夏休み集中授業
入試予想問題トレーニング
年長9月~10月

こうした考えに基づき、幼児期の基礎教育を徹底することが、最近の小学校受験にとっても一番有効な方法であることが、具体的な入試問題の内容や合格者数によって証明されています。具体的なカリキュラムと系統だった教材を示し、合格に向けた1年2カ月の学習方法について、7月8日の「幼児期の基礎教育と小学校受験」と題したセミナーでお伝えしました。日曜日にもかかわらず、大勢の年中児の保護者の方々にお集まりいただきました。そこで話した内容は以下の通りです。

こぐま会代表セミナー(7月8日(日)開催)
- 来年秋に受験される方のために -
「幼児期の基礎教育と小学校受験」
「幼児期の基礎教育の内容と方法」
こぐま会の指導理念
  1. 教科前基礎教育
  2. 事物教育
  3. 対話教育
「小学校受験の現状」
何を評価しようとしているのか
  1. 学力テスト・・・ 少ないペーパー/考える力がどれだけ身についているか
  2. 事物教育・・・ 小1プロブレム対策/集団活動のレディネス
  3. 対話教育・・・ 第一志望かどうか
「ゆりクラス9月からばらクラス10月までの指導の流れ」
学習の順序性を重んじた「セブンステップスカリキュラム」
子どもの成長に合わせた合格カレンダー
  1. 基礎(ステップ1~4まで)・・・年中9月~年長4月
  2. 応用(ステップ5~6まで)・・・年長5月~年長7月
  3. まとめ・・・年長8月集中授業
  4. 予想問題演習・・・年長9~10月
「年中夏からの学習の進め方」
学習の順序性を重んじた「セブンステップスカリキュラム」
子どもの成長に合わせた合格カレンダー
  1. ペーパーをする前にすべきことがたくさんある
  2. 生活や遊びは学びの宝庫
  3. はじめて学ぶ内容がペーパーからでは、思考力は身につかない
  4. 働きかける経験・試行錯誤する時間を保証する
  5. 学習計画をしっかり持つ。1年間の成長を信じ、あせらない
  6. 母子関係を良好に保つために、母親が怖い先生役を演じない
  7. 生活態度と学力は密接につながっている。生活の中で意欲と自立心を育てる

このセミナーを通して伝えたかったことは、

  1. 正確な入試情報を手に入れ、間違った商業主義の情報に惑わされない
  2. 入試で問われているのは、身に付けた知識ではなく、これから教科を学んでいくための素地(レディネス)がどう身についているかである
  3. 求められるレディネスの中心は、考える力の基礎(思考力)と集団活動の基礎(他者とのかかわり)である
  4. 入試対策がゆがんでいく原因は、教科書がないこと・情報が開示されていないことにある。学習の順序性を踏まえたカリキュラムと、系統だった教材によって、見通しを持った学習を心がけることが大事である。決して、学びの最初から過去問ペーパートレーニングに走ってはならない
  5. 受験準備の教育は、「特別な」教育ではない。ある学校のパンフにあったように「幼児期の子育ての総決算」として、入試対策をとるべきである。そのように考えれば、いかに家庭教育が大事かがわかる。決して、「子育ての外注化」をしないこと。幼児期の基礎教育の動機付けとして「入試」は大変意味があるが、事物教育を通してまともな教育を実践しないと、「考える力」は育たない。間違ったペーパー主義の教育は、無駄な教育投資に終わるばかりか、学習嫌いな子を作る結果に終わる

入試が終わった途端に、「もう勉強したくない」と感じる子がたくさん生まれているようです。教科学習のスタートの段階で、「学ぶ」ことに興味をなくしてしまうような、そんな受験対策にならないよう心がけてください。親の賢い選択が子どもの将来を決めるのです。

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