週刊こぐま通信
「室長のコラム」基礎段階の学習を終えて
第336号 2012/4/20(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

ばらクラスの授業は、先週でステップ4を終え、今週と来週の授業はステップ4の「復習トレーニング」となります。9月より開始したセブンステップスカリキュラムに基づく基礎段階の学習は、子どもたちの考える力を育成するために可能な限り具体物を用い、試行錯誤する時間をたくさん取ってきました。ステップ4までに以下のような内容を学習してきました。
領域 | テーマ |
<ステップ 1> | |
---|---|
未測量1 | 大きさ・多さくらべ |
位置表象1 | 前後・上下関係 |
数1 | 計数、同数発見、5の構成 |
図形1 | 基本図形とその構成 |
言語1 | 同頭音・同尾音、しりとり |
数2 | 分類 |
<ステップ 2> | |
未測量2 | 重さくらべ |
位置表象2 | 左右関係、上下-左右関係 |
数3 | 一対一対応 |
図形2 | 立体構成 |
言語2 | 短文づくり |
常識1 | 理科的常識の理解 |
<ステップ 3> | |
未測量3 | 長さくらべ |
位置表象3 | 方眼上の位置(上下-左右関係) |
数4 | 分類、等分 |
図形3 | 同図形発見、点図形 |
言語3 | 話の内容理解、お話づくり |
手先の巧緻性 | 箸、ひも、はさみ |
<ステップ 4> | |
未測量4 | シーソー |
位置表象4 | 四方からの観察(1) |
数5 | 一対多対応 |
図形4 | 図形分割 |
言語4 | 話の内容理解、昔話 |
推理1 | 法則性の理解(1) |

ただ、実際に出される入試問題の多くが、複合問題化され、一つの単元の理解だけでは解けない問題が多いのも事実です。ですからすでに学習を終えた単元だからと言って、完璧にできる問題だけではありません。作業をしながら順序よく考えられるか、一度答えを出し、その答えに基づいてまた別な操作ができるかどうか・・・そうした問題が入試には多く採用されています。ですから、実際の入試問題も、やさしいものから難しいものへと配列して学習するようにしてください。トレーニングする順番を間違えると、子どもが自信をなくす結果になってしまいます。過去問を学習の対象にするには、そうした点をよく踏まえ、手当たり次第に取り組ませることだけは避けてください。子どもに与える前に一度大人が解き、そこで求められている「思考力の質」をしっかり踏まえて練習することが大事です。
ところで、これまでの学習内容の中で、応用段階の学習や過去問トレーニングを考えた時、しっかりと理解しておかなくてはならない大事な課題があります。それを列挙しますので、基礎がしっかりできているか、5月連休までに必ず確認しておいてください。
未測量 : | シーソーの四者関係・言葉による関係推理 |
位置表象 : | 交差点の曲がり方・方眼上の位置移動・四方からの観察 |
数 : | 数の構成・一対一対応・一対多対応・数の等分・暗算能力 |
図形 : | 大きさの違う三角パズル・立体構成・秘密袋・図形分割 |
言語 : | 一音一文字・しりとり・動詞の理解・昔話・時系列 |
推理 : | 法則性の理解・立方体の回転 |

これまでペーパーを中心に学習をしてきた子どもたちが、大きな壁にぶつかるのも、この連休前後です。まだ手遅れではありません。具体物を使って試行錯誤する経験を多く持たせ、「考える力」をしっかり身につけてください。最近の入試では、同じ問題はほとんど出ません。子どもたちにとって初めての問題を自分の力で解決するためには、教え込みのパターン学習では対応できないのです。初めて出される問題を解くために必要な思考力をしっかり身につけてください。自分の言葉で説明できるまで、徹底することが大事です。
