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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入試速報(5) 「図形領域の課題」

第319号 2011/12/9(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年度の入試では、数に関する問題が減り、図形に関する問題が増えました。また、それまでの傾向であった線対称・重ね図形・回転図形のような難しい問題に対し、以前の図形構成が復活した事もお伝えしました(「室長のコラム271号(2010年12月3日付)」参照)。では、今年はどうであったのでしょうか。数の問題は各校復活し、図形の問題も同じように各校1~2問出しているところをみると、数・図形の問題がバランスよく出された年と考えて良いでしょう。図形に関して女子校主要10校の出題をみると、次のようになります。

1聖心女子学院初等科ペントミノ
2東京女学館小学校同図形発見
3雙葉小学校図形構成2問
4田園調布雙葉小学校図形系列
5東洋英和女学院小学部重ね図形・回転図形・つみ木構成
6日本女子大学附属豊明小学校回転重ね図形
7光塩女子学院初等科図形構成
8立教女学院小学校図形系列・図形構成・つみ木構成
9白百合学園小学校出題見当たらず
10横浜雙葉小学校線対称・欠所補完・同図形発見

出題単元に特に偏りはなく、同図形発見・図形系列・図形構成・つみ木構成・線対称・重ね図形・回転図形と、典型的な単元が出されています。また、図形構成に関しては平面も立体も出され、昨年の復活をそのままひき継いでいます。だいぶ以前ように、図形に関する入試問題の半分は「図形構成」ということはなくなりましたが、図形課題の中心であることには変わりありません。

さて、新しい傾向の問題が短期間のうちに他校に波及することを考えると、今年の問題の中で今後発展する可能性のある問題、類似した問題が出される可能性がある問題として、今年出題の次の問題はしっかり押さえておかなくてなりません。

2012年度 聖心女子学院初等科「図形構成」
 4枚の真四角のパズルをマスの中に置いて、上のような形を作りました。これからこの4枚のパズルを使って、別の形を作ろうと思います。ただしパズルは、必ず線のところをぴったりくっつけて置きます。角をくっつける置き方はしないでください。
  • どのような置き方が考えられますか。下のマスの中にその形をかいてください。

- 解答例 -
※鏡映、回転を含んでいません。


2012年度 横浜雙葉小学校 「線対称・折り紙を使って」
おり紙を縦に半分に折って、真ん中の太い線をはさみで切ると、おり紙は2枚に分かれます。
  • では、今度はおり紙を三角に半分に折って、太い線のところで絵のように切ると何枚に分かれるでしょうか。その数だけマスの中に青いをかいてください。

2012年度 日本女子大学附属豊明小学校 「回転重ね図形」
  • 左の2つの形を回転させて、印のところをあわせて重ねるとどうなるでしょうか。右から選んでをつけてください。

2012年度 立教女学院小学校 「つみ木構成(トーフつみ木)(個別テスト)」
  • ここにあるつみ木を色ごとに組み合わせると、3つの四角い形が作れます。作ってみましょう。
    (黄色のつみ木2個、赤のつみ木3個、青のつみ木4個、それぞれ組み合わせると豆腐のような直方体が構成できる)

全く同じ問題は出されませんが、昨年の聖心女子学院初等科の「言葉つなぎ」の関連問題がすでに今年の入試問題として出されているところをみると、各学校とも他校の問題を相当研究していることがわかります。以前ある学校で「ホットケーキの3等分」が出されると、その後他校で「ひもの3等分」「水量の3等分」が出されたことがありました。翌年の入試に出されたことはありませんでしたから、類似問題が他校で採用されるスピードが速くなったということです。学校間で問題に関する連携はないはずですから、私たちが子どもたちから聞き取って作った「過去10年間の入試問題資料集」を入試担当の先生方も活用しているとしか考えられません。その意味で、受験する学校の過去問だけでなく、「小学校入試全体の問題傾向がどうなっているのか」を正確に把握しておくことは大事なことです。

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