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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

正しい入試情報を

第230号 2010/1/29(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 毎年秋の入試が終わると、子どもたちから聞き取った情報をもとに、それぞれの学校の入試問題の分析を行い、合否判定のあり方を検証しています。毎年12月に紀伊国屋サザンシアターで行ってきた「入試分析セミナー」をよりきめ細かに行うために、今回は学校別の分析セミナーを昨年末から行ってきました。またそれとは別に、客観的なデータに基づいた入試分析を「ひまわり会合格カレンダー連続講座」でも行っています。これまでに8回の講座を終えましたが、毎回定員を超すお申し込みがあり、関心の高さが窺えます。これまでの講座の中で一番関心が高かったのは、第6回目の講座「第一志望校と併願校をどう組み合わせ、学習するか」でした。50名定員のところに100名を越すお申し込みがありました。最近は多くの塾で入試問題の分析会を開催していますが、問題の分析はともかく、合否判定に関しては、データに基づかないあいまいな分析が多いようです。それは当然といえば当然です。模擬テストに1回参加しただけで、合格者数にカウントするような、偽装も甚だしい水増し合格者数を出しているようなところでは、合格者一人ひとりの背景を追跡調査することなどできるはずはありません。テストの数値結果だけではなく、普段の教室での学習面や行動面の様子を加味した分析など不可能です。

小学校の入試は、学校側からの情報公開が一番遅れている入試であることや、そもそも学習すべき教科書がないこと、学力だけで合否が決まっていないことなど、特殊な面があまりにも多い入試です。だからこそ、正確な入試情報が必要なはずなのに、その入試情報そのものが恣意的に操作され、受験生の保護者が右往左往する結果になっているのが現状です。正確な入試情報を受験生の保護者の方々に伝えることは、幼児教室の責任です。しかし、その情報伝達の仕方に問題があるとすれば、それをこそ糺さなくてはなりません。私が連続講座を通して明らかにしたいと考えていることは、自分の指導経験にのみ頼るのではなく、客観的なデータに基づいた、科学的な分析をしなければいけないということです。会員の1年以上にわたる学習の軌跡を(テスト結果も含む)分析し、そのうえでさまざまな観点から、各学校の入試の実態を明らかにすることが必要です。入試問題の分析にしても、ただ出された問題を羅列するのではなく、どのような意図で問題が作られたのか、出題の根拠はどこにあるのか、子どもはどこでつまずくか、その問題の一歩先にある難しい問題は何か、その結果予想される問題はどのようになるのか、などを明らかにしなければ分析とはいえません。

情報が閉ざされているだけに、小学校入試は情報戦でもあるといえます。正しい入試情報をどのように集めるか。それが合格への第1歩であることを認識すべきです。テストで常によい点を取っていればどこでも合格できるという発想では、合格を勝ち取れません。これから受験される皆さんには、ぜひとも正確な入試情報に基づいた冷静な判断をお願いしたいと思います。最近は受験に熱心なお父さんが多く、土曜日の授業の送り迎えなどはクラスによっては半数ぐらいがお父さん・・・・という場合もあります。しかし、母親に比べ、小学校入試に関する情報が少なく、入試を正確に理解している方が少ないようです。その結果、学校選択や入試対策のあり方ついてご両親で意見の違いが生じ、なかなか家庭の方針が決まらなくて・・・と相談にみえるケースが多くあります。そのためこぐま会では、父親のための勉強会を「土曜ゼミ」として行ってきました。また、2月11日(木)が祝日に当たるため、「ひまわり会合格カレンダー連続講座」の第9回を父親対象の「受験講座」として開催し、とかく入試情報に疎いお父さん方に、現在の入試の実態と問題点をお伝えしたいと考えています。今年受験される会員の皆さんだけでなく、一般の方や来年以降の受験を考えている方もぜひご参加ください。

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