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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

春休みの課題

第850号 2023年3月17日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年9月から始まった KUNOメソッドセブンステップスカリキュラム」の授業は、今週でステップ4が終了し、基礎段階の24回の学習が終わります。4月以降夏休み前までは、ステップ5~6の応用段階の学習が続くことになります。これまでの6カ月間で行ってきた各領域の学習の中の、特に入試にかかわりのある内容で、現段階でまだ解決できずに壁にぶつかってしまっている課題がいくつかあります。応用段階の学習が始まる4月までの春休みにぜひご家庭で点検し、復習していただきたい内容を領域別にお伝えします。

1. 未測量
量の学習を通して相対化や系列化といった「論理」を育てる学習内容が多く含まれています。昨年行った「全国幼児発達診断テスト」 において、一番点数の低かった領域です。これまで学習した課題の中で、入試でよく出される難しい課題は「シーソーの四者関係」「個別単位の考え方」「言葉による関係推理」の3つです。特にシーソーは五者~六者関係まで出題されていますし、言葉による関係推理も三者だけでなく四者関係まで出されていますので、この3つの課題はもう一度点検し、理解度を確認してください
2. 位置表象
空間認識の学習は、上下・前後・左右関係の理解が基本です。中でも左右は向き合うと逆になるという難しさがありますが、具体的場面での左右関係は問題なく理解できています。しかし、「四方からの観察」のように、立場を変えてものを見たときの左右関係はまだ不十分なところがあります。交差点の曲がり方や、その発展としての地図上の移動などもまだ苦手意識が出やすい課題です。しかし入試ではよく出されますので、この春休みはもう一度右手 - 左手まで戻って復習し、「交差点の曲がり方」や「四方からの観察」に力を入れてください
3. 数
四則演算の基礎は具体的な場面に即して練習しましたので、生活場面における数の変化に対する敏感さは身についたと思います。特に数の構成・数の多少などの学習においては、暗算能力を高めるために、指を絶対に使わない指導を行ってきました。この経験は、就学準備以降、小学校の算数科の学習に入った時に大変役立ちます。入試が終わってもまだ数が内面化していない子も多くみられる中で、KUNOメソッドで鍛えられた子どもは暗算能力が高く、計算スピードにも大きな差が出てきます。その意味で、幼小をつなぐ具体的な内容として意味のある学習ですが、その基礎をこの段階でしっかり身につけてください。特に入試との兼ね合いで考えると、かけ算の考え方の基礎となる「一対多対応」やわり算の基礎となる「等分」や「包含除」の考え方はよく出題されますので、しっかり身につけてください。一場面を使った数の総合問題ではすべての四則演算が求められますので、暗算による数の操作をしっかり身につけておいてください
4. 図形
図形学習の基礎は、図形構成と図形分割、それに図形模写の3つの課題が中心です。年を追うごとに難しくなってきた図形問題は、対称図形、回転図形、重ね図形といった課題が中心でしたが、コロナ禍の入試で問題が易しくなった関係で、単元としては図形構成・図形分割が復活してきました。三角パズルだけでなく真四角やひし形を使った図形構成も出されていますし、つみ木を使った立体構成もよく出されています。8個のつみ木を積み、そこから何個か動かして別の形を作る場合、何個のつみ木を動かせばよいかを問う問題などは工夫された良い問題だと思います。図形模写に関しては、点図形も含めコロナ禍でよく出されていますが、模写の基本はひし形が描けるか、立方体の模写ができるかどうかです。斜めの線の理解ができているかどうかが決め手です
5. 言語
言語領域の基本は、「聞く力」と「話す力」の2つが大きな柱になりますが、これに「日本語の理解」も合わせて3つの観点で学習しました。「聞く」については話の内容理解の形式で必ずやるようにしてきましたが、「話す」については、4枚の絵カードを使って時系列に並べ、それを使ったお話づくりの練習をしました。この「聞く」「話す」が将来の「読む」「書く」につながり、読解力や作文力に発展していきます。文字の読み書きの前に、この「聞く力」「話す力」の育成に時間を費やすべきです。小学校入試では、昔から「聞く力」を重視してきましたが、最近「話す力」にも力を入れるようになってきました。コロナ禍のマスク生活で、話す機会が減っていることを懸念していますが、皆の前で自分の考えや感じたことを話すことができるかどうかを点検してみてください。「日本語の理解」の中で入試でよく出されるのは、「一音一文字」です。またその応用である「しりとり」は毎年よく出されていますが、学校によっていろいろ工夫されて出題されており、しりとりの「ルール」をしっかり理解したうえで、最終的には「逆しりとり」(頭とり)もできるようにしてください
6. 生活 他
理科的常識や、法則性の理解に関する問題をここで取り上げていますが、観点を変えた分類・音の理解・並び方の法則性の理解などを、これまで学習してきました。理科的常識も多岐にわたっていますが、生活の中で経験したことを踏まえ、理解を深めていってください。経験もなく知識として覚えても、すぐに忘れてしまいます。そのためには、図鑑を使う前にまず経験させること・・・そうした積み上げの中で、理科的・社会的常識は理解していってください。昨年、音を聞かせてそれがなんであるかを判断する問題が入試でも出されましたので、自然界の音に耳を澄ます経験を積んでください。法則性の理解の問題も、論理性を求める問題として、今後も入試でよく出されていくはずです。変化するルールをどう読み取るか・・・ゲーム化してやれば、子どもたちもよく集中しますので、いろいろ試みてください

以上、ここに掲げた基礎段階の大事な学習が身についているかどうか、ばらクラス(年長)でも4月最初の週に「基礎学力総点検テスト」を実施します。どこまでわかっていて、どこからわからなくなっているかを明確にし、解決したうえで応用段階の学習に進んでいただきたいと思います。子どもの学力の現状を正確に把握し、志望校の決定や家庭学習の方針を立てる際に役立ててください。

今回準備している基礎学力点検テストは、以下の内容で行う予定です。

1未測量シーソーの四者関係
2未測量個別単位(広さくらべ)
3未測量言葉による関係推理
4位置表象方眼上の位置と移動
5位置表象交差点の曲がり方
6位置表象四方からの観察
7あまりのある等分
8一対多対応
9図形つみ木の構成
10図形図形分割
11図形図形模写(ひし形/立方体)
12言語しりとり
13言語話の内容理解
14生活 他法則性の理解(図形系列/方眼上を動く形)

※次回の更新は4月7日(金)です

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