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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

数 基礎33 数の一対多対応 1 かけ算の考え方

2009/5/1(Fri)
 ここまで「数の増減」について扱ってきましたが、今回から「数の一対多対応」について考えていきたいと思います。
「ひとりでとっくん35 一対多対応」 の中に次のような問題があります。(P1)

 箱の中にお饅頭を2個ずつ入れるには、お饅頭は、いくつあればいいですか。その数だけ下のお部屋に、赤いを描いてください。
解答
赤い 10個

 前号まで連載してきました「数の増減」は、たし算・ひき算の考え方につながっていきますが、この「一対多対応」はかけ算の考え方につながっていきます。

この問題は、1箱に2個ずつ入れますから、端から1、2、3、4、5・・・・と数えていけば、お饅頭は10個いることがわかります。しかしそれよりも、2個ずつ5箱に入れることを踏まえて、2個ずつ5回を描いていく考え方の方がいいと思います。前者のように数えて行うと、数え落としたり数えすぎたりして間違えてしまう可能性が高くなります。それよりも、後者のような「~個ずつ、~回」という考え方の方が現実にあっていますし、等分や包含除の考え方にもつながっていきます。答えのの描き方も、下の(1)のようにを10個続けて描くよりも、(2)のように2個ずつ5回描いていく方がいいのです。こうすれば、全体の数が10個とわからなくても、1箱に2個ずつ5つの箱に入るお饅頭の数だということがすぐにわかります。

(1) 
(2)      

ひとつについて2以上のものが対応するので、こうした考え方を「一対多対応」と言います。これをかけ算で言えば、2×5=10となります。現在のかけ算の考え方は、かけ算の前にくる数と、後ろにくる数の意味が決まっています。前にくる数が「1当たり量」、後にくる数が「いくつ分」です。そして、出た答えが「全体量」なのです。これを式に表すと、(1当たり量)×(いくつ分)=(全体量)となります。

例えばウサギ4匹分の耳の数は、1匹あたりの耳の数が2本で、それが4匹分ですから、2本×4=8本となります。答えが同じ8だからと言って、4×2=8ではないのです。これだと、耳が4本あるウサギが2匹いるということになってしまいます。

この考え方を上のお饅頭の問題に当てはめると、「1当たり量」は1箱に入れる2個ずつのお饅頭、「いくつ分」は5つの箱、「全体量」は答えに当たる10個のお饅頭ということになります。「一対多対応」の学習では、このかけ算の立式をする必要もありませんし、九九を覚えて、答えを出す必要もありません。問題の中での「1当たり量」と「いくつ分」が何に当たるのかを良く考えて、適切におはじきを出したり、を描いたりすることができればいいのです。これが正確にできれば、後は出されたおはじきや描いたを数えれば「全体量」は出るのです。

ですから、この「一対多対応」で大切なことは、問題を聞いたときに何が「1当たり量」で、何が「いくつ分」に当たるのかをつかむことにあります。しかし、この「1当たり量」と「いくつ分」とか言う言葉ではわかりませんから、おはじきを出す場合やを描く場合に、「~個ずつ、~回」行うのかをしっかりつかむことがポイントになります。
この問題の中の「1当たり量」と「いくつ分」についての考え方を次回以降掘り下げて考えていきたいと思います。

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