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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

その14 数 基礎 数の等分

2005/09/29(Thu)
 前回は、「連続量の等分」について扱いましたが、今週は「分離量の等分」、つまり「数の等分について考えて行きたいと思います。
 等分は、小学校の算数では、「わり算の考え方」につながっていきます。わり算には(等分除)と(包含除)というふたつの考え方があるのをご存知ですか。

(等分除)
8個のお饅頭を4人にけんかしないように分けると、ひとり何個もらえますか。
式 8個÷4=2個   答え ひとり2個ずつもらえる

(包含除)
8個のお饅頭をひとりに2個ずつあげると、何人の人に分けられますか。
式 8個÷2個=4   答え 4人に分けられる

 (等分除)はこのように全体の数をけんかしないように分けていき、ひとり分がいくつかを出していくわり算です。反対に(包含除)は、全体の数をひとり分でわって、何人に分けられるかを出していくわり算ですから意味がまったく異なります。ちなみに(かけ算)は、わり算の反対でひとり分に何人分をかけて、全体量を出す計算です。このかけ算とわり算ふたつの考え方の関係をしっかりとつかむことが、小学校の算数の考え方を支えていく基礎になるといっても過言ではないほどこれらの考え方は大切なものです。そして、これらの考え方につながっていく具体的な例が、幼児の生活の中ではたくさんあるのです。また、このことについては「数の一対多対応」のところでお話して行きたいと思います。

 今回扱う「等分」はわり算の2つの考え方のうちの(等分除)にあたります。等分は、上のおまんじゅうの例でもお分かりのように、基本的には「けんかしないように分ける」ことなのです。「けんかしないように分ける」ためには、次の二つのことが大切です。

  • トランプを配るように、分ける対象になっている人たちにひとつずつ順番に配る。
  • のこった数と配る人数の関係を常に考え、余りがあった場合は配らずに余りを残す。

 以上のことを「19このおはじきを4人にけんかしないように分ける」課題を実際におはじきを使って考えることを例に挙げて考えていきましょう。

 (包含除)の考え方であれば、初めからひとりに~個ずつ配るということがわかっていますから、それに沿っておはじきを操作していけばいいのですが、等分ではそうは行きません。何個かずつ配ってしまうと、あまりの分まで配ってしまうかもしれませんし、一人一人におなじに配ったかどうかがあいまいになってしまいます。ここは、きちんと4人の人にひとつずつ配って下さい。さらに、配る順番も大切になります。いつも同じ順番で配らないと、一人当たりの数と余りの関係を正しく捉えることができなくなります。

 次に 2. の残りの数と配る人数の関係について考えていきましょう。19このおはじきを4等分すると、一人当たり4個になり余りが3個出ます。等分の意味が十分に理解できていない幼児は、この余りの意味がよくわかりません。おはじきを配らせても、余りの分も配ってしまいます。3人の人に5個ずつ配ってしまうので、最後の一人は4個になってしまいます。そして、「1個足りない」と言い張ります。確かにあと1個持ってくれば余りなく配れます。しかし、これは19個のものを配る課題です。最も配られた数の少ない子にあわせなければなりません。しかし、すべて配った後でそこから1個ずつおはじきを取り去ることはなかなか難しいことです。そこで、次のような方法で余りを配らずにあらかじめ余りを残して配る方法を是非身につけて下さい。

 それは、常に残った数と配る人の数の関係を考えることです。この場合では、ひとりに3個ずつ配ったときには、まだ7個残っているのでまだ配ることが出来ます。しかし、もう一巡して、一人に4個配った時には残ったおはじきは3個ですから、4人の人には配ることが出来ません。そこで配るのを止めてこれを余りとします。このように等分では一巡したら残りの数と配る人数を考えることをしっかりと習慣付けて下さい。

 以上のことは、具体物だけでなく、ペーパーで行うときも同じ方法でいいのです。しかし、ペーパーの場合は、線結びをするなど作業が煩雑になりいろいろな点で難しくなります。まずはしっかり「こぐまドーナツおはじき」 などを使って具体物で繰り返し練習を行い、その後に「ひとりでとっくん33 とうぶん」 を使ってペーパーでのまとめを行って下さい。

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