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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問34】

2007年6月8日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 言語課題のひとつである「言葉の理解」の対策については、具体的にどんな内容を学習しておけば良いのでしょうか。

 言語領域の入試問題は、聞く力を問う「話の内容理解」、話す力を問う「お話作り」、が中心ですが母国語である日本語の習得を問う「言葉の理解」に関する問題も増えています。私たちは、入試問題を分析する際、日本語の品詞に分類してみるとわかりやすいのではないかと考え、学習単元を設定してきました。

 そのような前提に立って考えてみると、昔から名詞中心の言葉の理解に関する問題がよく出されていました。「一音一文字」「同頭音・同尾音」「しりとり」がその典型です。「一音一文字」の指導は、意図的に文字指導を行っている幼稚園では、必ず最初に学習する内容で、いくつの音で言葉ができているかを考えさせる課題です。幼児期の基礎教育を考えた場合、この「一音一文字」の考え方はとても大切だと考え、私は35年前から実践してきましたが、最初から入試問題にあったわけではありません。入試問題として取り上げられるようになったのは、ここ10年~15年ぐらいの間です。特に最近では、行動観察のゲームなどにも活用され、出題内容はいろいろ工夫されています。また、「しりとり遊び」は子どもたちも園生活の中で経験があるため、入試でもよく出されてきましたが、最近の問題はかなり難問化しています。うしろにつなげる言葉遊びという点だけを考えれば、簡単な問題ですが、しりとりのルールの理解があらゆる角度から問われた場合、とても難しい問題に変わります。

 長い間こうした名詞中心の問題が入試で出されてきましたが、ある時期から「動き言葉」として、動詞の理解に関する問題が増えてきました。短文づくりの形をとったり、目の前で行われている先生の行為を言葉で説明したり、与えられた動詞からイメージできることをお話させたり・・・出題方法も工夫されています。動詞に関する問題が増えたのは、将来の作文教育と関係があるのではないかと分析しています。名詞をいくらたくさん身につけていても、そのことで表現力が豊かになるわけではありません。作文において豊かな表現力を発揮するには、動詞や副詞・形容詞などをどれだけ使えるかにかかっています。特に動きを表す言葉を適切に使いこなせるかどうかは、作文教育にとっては重要なことだと思います。

 「ようす言葉」としての副詞、「反対言葉」の形をとった形容詞、それに助詞の理解にいたるまで、実際の入試ではすでに出題されています。話すことが苦手な子が多い今、言葉の理解を通して普段の言語生活が問われている側面があるように思います。そうしたことを考えた時、この「言葉の理解」に関しては、テキストを使った学習の前に、生活の中で、聞く・話すといった当たり前の経験を豊富につむということが大切だと思います。

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