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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問6】

2007年1月30日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 4月から年中になる娘がおります。雙葉小学校を第1希望に考えていますが、これからどんな考え方で、家庭での入試対策を行ったらいいのでしょうか。

 雙葉小学校は女子難関校のひとつであり、かつ問題が極めて洗練されていて難しいので、早いうちからペーパートレーニングを・・・と考えている方が多いように見受けられます。年少のときからペーパーを相当やり、入試1年前には、ほとんどのペーパーをやりこなし・・・・という方も見られます。しかし、そうして学習をしてきた子どもに、具体物を使って基本的な問題を問いかけ、答えの根拠を問いただしても、説明できないケースが多く見られます。つまり、ペーパーを早いうちから使ってトレーニングしても、考える力は身についていないのです。機械的に覚えこんだやり方で解いてしまうことが多く、物事を筋道立てて考えていく論理性に欠けることが多いのです。ですから、早くからペーパー学習のみで対策をとってきた子どもの多くが合格につながっていないのです。

 昔のようにパターン化された問題が多く出される学校であれば、そうした早いうちからのペーパートレーニングが有効かもしれません。しかし、現在の入試は雙葉に限らず、問題が相当練られ、過去出された問題や市販のテキストにある問題と同じ問題が出ることはまずありません。知能検査のテストがベースになっていた30年ほど前の入試ならともかく、今の入試はパターン練習で解けるほど単純ではありません。

 同じような問題に見えても、そこで求められている能力は、やはり「論理的思考力」なのです。私たちの教室でも、これでもか・・・というくらい難しい予想問題を考え、対策をとっていますが、そこで大事なのはその問題に正解すればいいというのではなく、「その問題を通してどんなものの見方・考え方を身につけたらいいのか」ということです。そのことをいつも、お母さん方にお話しています。ですから、たくさんのペーパーをやることではなく、1枚のペーパーを大事にし、どこまで深く理解させるかが重要なのです。

 前置きが長くなりましたが、質問に答えましょう。入試の現状を考えると、ペーパー的なトレーニングは1年あれば十分対応できます。4月から年中ということですから、年中の夏ごろまでは、具体物やカードを使った「楽しい学習」を心がけてください。ご家庭では、いろいろな具体物をそろえ、経験させるのは難しい点もありますが、生活の中で学ぶチャンスはたくさんあります。過去の問題に目を通し、お母さんやお父さんがまず学校が求めている観点を把握し、そうしたものの見方を実際の生活の中で育てることが大事です。

 論理的なものの見方の最初は、物と物との関係付けです。比べたり、順序を逆に考えたり、観点を変えて物事を見たり、一度行った行為を元に戻したり・・・そうした経験はいたるところで可能です。その上で、パズルやカード教材を使って、繰り返し試行錯誤させることに大きな意味があります。また、オセロやトランプといったゲームを通して、「見通す力」「相手の動きを読む力」などを育てることも、論理的思考力育成のためには、またとないチャンスです。数の感覚を育てることを考えても、生活や遊びの中にたくさんの教育チャンスがあります。そうしたことに力を注ぎながら、その体験に関連したペーパー学習を少しずつ取り入れていけば、無理なくペーパー学習に取り組むことができるはずです。

 雙葉小学校の問題が難しいからといって、早いうちからペーパー学習を・・・と考えるのは間違っています。難しい、よく工夫された問題だからこそ、基礎学力をしっかり見につけ、どんな角度から問われても十分答えていけるだけの応用力が必要なのです。そうした力の土台となる「論理的思考力」は、ペーパーのみの学習では決して身につきません。

 どんな質の問題なのかは、実際に出された問題を見ていただければ、私が解説するまでもありません。もし分析が必要ならば、5年間の問題を私が分析しまとめた「何が合否を分けたのか」(こぐま教育新書)をぜひお読みください。雙葉小学校のそうした問題は、雙葉小学校に限らず、これからの小学校入試でも必ずや取り上げられていくはずです。国の教育方針が「論理的思考力の育成」になってくるのですから、当然だと思います。

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