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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

図形基礎 図形模写をきちんと描くために(1) 線の模写

2006/06/23(Fri)
 図形模写とは、さまざまな図形を見本と同じに描いていくことです。この図形模写の課題は、よく小学校入試で出題されています。なぜ出題されるのでしょうか。それは図形模写が正しくできるためには、そこに様々な図形認識についての要素が必要とされるからです。そして、それは小学校での図形教育の根幹を成すものといってもいいくらいなのです。そこで、今回はこの図形模写の課題を通して、図形の見方考え方について考えていきたいと思います。

 ひし形を正しく描けるかどうかを見る課題が幼児の知能テストの中にあります。ひし形は、すべての辺が斜めの線で囲まれています。前回の点図形のところでもお話ししましたが、幼児にとって斜めの線を描いていくことは、非常に難しいことなのです。この時期は「思考が知覚に左右される」という特徴があるため、斜めの線を描こうと思っても、紙の縦や横の直線に目が奪われて、なかなか真直ぐな線が引けないのです。自分では真直ぐな線を引こうと思っても、途中から縦方向や横方向に曲がっていってしまうのです。

 また、ひし形は斜めの線が引けるだけでは描けません。ひし形は対角線を引いたときに、対角線同士が直角に交わらなければなりません。対角線が直行しないと、ゆがんだひし形になってしまうのです。ですから、ひし形がきちんと描けるためには、頭の中で十分なひし形のイメージをも持たなくてはならないのです。ひし形をきちんと認識しているかどうかが大きなポイントになってきます。

 斜めの線がしっかりと引けない原因には、一つはこうした図形認識の問題がありますが、また別に筆圧の問題もあるようです。鉛筆や筆記用具を持って、筆圧をかけて線をしっかりと引かなければ、斜めの線は上手く引けません。斜めの線どころか縦や横に引く直線も上手くできないでしょう。小学校に入学してすぐの時期でも、鉛筆を正しく持てないことが最近は多くなっているようです。ですから、図形教育の基礎はまず鉛筆を正しく持って、線を引いていくところから始まるのではないでしょうか。

 はじめに使う鉛筆は4B程度のできるだけ芯の柔らかいものがいいでしょう。もっと言えば、はじめは鉛筆でなくてもいいです。クレヨンやクレパスなどの弱い力でもすぐに線が描けるものがいいでしょう。「線を模写する」というのではなく、紙に自由にぐるぐると線描いていく練習をしてください。手を大きく動かすことができるかどうかがポイントです。この手の柔軟な動きが線をしっかり描いていくことにつながっていくと思います。そして、線が自在に引けるようになったら、「ひとりでとっくん66 線の模写」 を使って、見本と同じに線を引いていく練習を行ってください。最終的には下図のような波線やギザギサの線を見本と同じに描くことが目標になりますが、それ以前に直線が描けることが大事ですから、そこからしっかりと練習をしてください。


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