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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

gacco通信講座「幼児教育に新しい風を」が終了しました

第525号 2016/4/8(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 「幼児教育に新しい風を」と題したgacco通信講座 は、3月30日に第4週の8回分が配信され、これで、3月9日から始まった講座も、すべて配信されたことになります。最後の第4週目は以下のような内容です。

4-1. 感覚教育・集中現象 モンテッソーリから学ぶ
4-2. らせん型教育カリキュラム ブルーナーから学ぶ
4-3. 最近接領域をどう生かすか ヴィゴツキーから学ぶ
4-4. 可逆的な思考を育てる ピアジェから学ぶ
4-5. 原教科とは 遠山啓氏から学ぶ
4-6. オリジナル教具・教材を通して広がる輪
4-7. KUNOメソッドによる海外教育支援
4-8. 幼児教育に新しい風を

KUNOメソッドの内容と方法を支える理論的な根拠を示すことによって、議論が深まるきっかけを作りたいと思い、こうした内容にしました。また、現場の教師が、日々の教育実践をまとめ上げていくためには、どうしても理論的背景が必要です。それを共有することがまず大事だという想いが私にはあり、それを明確に示す責任もあるかと思っています。ただ、私は研究者ではありません。教育実践者ですから、個々の理論の深い議論はできません。だからこそ、教育現場の人間がどう受け止めればよいかを中心にお話しさせていただきました。専門の研究者から見れば、そんな薄っぺらい論理ではない・・・とおしかりを受けるかもしれませんが、私は実践者ですから、子どもの立場から何が有効かどうかを示す責任があると思っています。不毛な議論にならないように、常に、実際の子どもたちを介在させた議論にしたいと思っています。

今回は、5人の理論をどう受け止めたかを述べましたが、実践者である私にとって一番わかり易く、これまでの仕事の指針にしてきたのは、やはり「遠山啓」氏の考え方です。「原数学」「原言語」「原教科」という表現に象徴される「幼児期の基礎教育」の考え方は、だれの理論よりもわかり易く、私がセブンステップスカリキュラムを作成するにあたり、一番参考にした考え方です。また、教育方法としての「事物教育」の考え方は、ピアジェの考え方やモンテッソーリの感覚教育を参考にしてきました。

オリジナルな教育内容や教具・教材の開発は、単に自分の実践経験に依拠するだけでなく、理論的な背景を持たないと普及していきません。その点を考えると、幼児教育の現場にいる人間は、まだまだ勉強が足りないと思っています。単なる託児所的発想や、逆に教え込みの教育に徹し、日々の活動に疑問を持たない人達にとっては、過去の遺産に学ぶ必要はないかもしれません。しかし、これから新しい価値を生み出そうという「こころざし」をもつ人たちにとっては、最低限の理論的背景は必要だと思います。

最近は、脳科学の成果が幼児教育に生かされはじめていますが、「脳」と言われると、何か手が届かないところがあり、どうすることもできず、その結果なじめない感じを持つのは、私だけでしょうか。しかし、学ぶ必要はあると思っていますので、その足りない部分は、今後の課題にしていきたいと思います。

受講していただいた皆さま、4週間ありがとうございました。来る4月17日(日)午後には対面授業もございます。どうぞ奮ってご参加ください。皆さまにお会いできるのを楽しみしています。



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