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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

併願対策について

第389号 2013/5/24(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 5月23日(木)に行った、合格カレンダ―連続講座 第8回では、「第1志望校と併願校をどう組み合わせ、学習するか」と題し、受験する学校の組み合わせと、それを踏まえた残り半年足らずの学習対策のあり方についてお伝えしました。連休明けから各学校とも、公開授業や運動会等を通して、受験する保護者や子どもたちに学校の雰囲気を伝える機会を増やしています。また、ほとんどの学校のホームページ上に今年の入試に関する情報もアップされはじめ、これから夏休みまで学校説明会が続きます。第1志望校と併願校の組み合わせを踏まえ、秋の受験に向けて、効果の上がる学習対策を考えなければなりません。今回のセミナーでは、以下のような内容で「併願」のあり方をお伝えしました。

ひまわり会 合格カレンダー連続講座
第8回 「第1志望校と併願校をどう組み合わせ、学習するか」
(1) 学校選びの基本
A) なぜ小学校受験か
B) それぞれの時代における小学校受験の位置づけ
C) 志願者減少の背景と学校側の対策

(2) 2013年度入試にみる併願の具体例
A) 2013年度首都圏受験日程
B) 併願可能な大きな枠組み
C) 2013年度にみる併願具体例
D) 11月1日に複数校受験する場合の組み合わせ

(3) 併願する場合の問題点
A) 同じ学校の組み合わせで、併願できる人とできない人がなぜ生じるか
B) 面接試験の日程も重要
C) 併願で辞退されるのを防ぐ、学校側の対策

(4) 併願対策はいつから始めるべきか
A) 併願で問題なのは学習対策
B) 組合せによっては、第2志望校中心の勉強をせざるを得ない場合がある
C) 併願対策の学習拡大は、本格的には7月以降

併願校の組み合わせを考える場合、都内在住の受験生の場合、大きな枠組みは次のように考えられます。
1. 10月20日過ぎから始まる神奈川の学校を1~2校
2. 11月1日~3日までに試験のある学校を1~2校
3. 11月4日以降に試験のある学校を1~2校
4. 国立附属小学校

このように考えると、入試日程が集中しているとはいえ、私立小学校で4~6校受験は可能です。しかも、より詳しく見ていくと、11月1日に2~3校受験する子も大勢見られます。例えば、今手元にある資料を見ると、ある子は11月1日に、受験生の多くが第1志望とする雙葉・聖心・学習院の3校を受験しています。1月生まれで、氏名がア行のAちゃんは、朝一番に「雙葉」を受験し、次に「聖心」の後半のグループで試験を受け、最後に午後に受付のある「学習院」を受けることができたのです。他にも、雙葉と成蹊、聖心と豊明、青山と慶應、聖心と田園調布雙葉という組み合わせで受験できた子が見られます。

なぜ、同じ日に有名校を3校も受験可能なのか。そこには大きなからくりが存在します。それは、受験番号の付け方が違うからです。受験番号の付け方については、「受付順」・「50音順」・「生年月日の早い順か遅い順」・「郵送で到着した順」につけるところもあれば、シャッフルして番号をつける場合もある・・・という具合にまちまちです。その結果、運よく3校受けることができる子もいる一方で、1校しか受験できなかった例も見られます。この場合は、受験番号の付け方だけでなく、10月に行われる面接試験が重なってしまった結果、1校しか受験できなかったという場合も見られます。指示された面接日程の変更が効かなくなっている、最近の入試の現状を知っておかなければなりません。本試験は日程的に十分可能なのに、本試験前に行われる面接試験が重なってしまったため、受験できなかったという例もたくさん見られます。その意味で、併願が可能かどうかは、実際に手元に受験票が届くまでわからない・・・というのが現実のようです。

併願校対策で重要なのは、以上のような学校の組み合わせの問題ではありません。複数校受験する場合の学習対策のあり方が大問題なのです。4校受験するのに4校の過去問を抱え込んでしまったら、いくら時間があっても解決しません。第1志望校の学校を中心に進めるとしても、第1志望校がペーパー試験のない学校で、第2、第3志望の学校がペーパー試験がある場合どうしたらよいのでしょうか。こうした場合は、勉強の方法を工夫しなければなりません。時には、第2志望の学校を優先して学習の対策を考えなければならない場合も出てきます。その方針を決めるのは、併願する学校の入試問題をしっかり分析し、それぞれの学校の出題傾向を把握するだけでなく、その子にとって何が難しいかを明確にすることです。その作業をしないでやみくもに過去問に取り組んでも、効果は上がりません。

最近の入試には、それぞれの学校の過去問につながっていく内容だけでなく、今小学校入試全体で問題になっている「新傾向の問題」があります。それは、ある学校で出された初めての問題が、次の年に形を変えて複数校で出題されるという現象です。その結果、それぞれの領域で、「新傾向の問題」を形作っているのです。それがいったい何か・・・それをしっかり分析することを通して、今何がテーマになっているのか、そのトレンドを読み込む眼が必要です。

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