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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

まともな準備教育を

第123号 2007/10/19(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 来年秋に受験する現年中児の皆さんの授業が11月6日から始まります。9月以降、来年秋の受験に向けての教育相談を大勢の方から受けてきました。何をどう準備すれば良いのか、学校選択や学習の進め方等について、不安をたくさん抱えているようです。一度受験を経験すれば、1年間の子どもの成長と行うべき入試対策の課題も良くつかめるのですが、初めての受験となると、この1年間の子どもの変化や学習の見通しが立たない分、周りのうわさに振り回されて、不安だけが先立つことは容易に理解できます。

相談に見えた方々に、最低限心得ていただきたいことをお話しするのですが、その内容は次のようなことです。

  1. 学校選択に関しては、正確な情報をしっかり持つこと
  2. 1年間の子どもの成長を信じ、その時期にふさわしい課題を学習の対象とすること。あせって、すぐに過去問に手をつけるようなことはしないこと
  3. ペーパーを使った学習だけでは、本当の学力は身につかない。事物を使った学習を前提に、幼児期の基礎教育をまともな方法で実行すること。そのために、個人の先生や塾選びは慎重にすること。幼児教育の専門的な知識を持たないものが受験対策にあたっているケースが多いので注意すること
  4. 行動観察がなぜ重視されているのかを考えればわかることであるが、小学校入試は、学力主義ではないことを理解し、日常生活の中で、親としてすべきことはきちんと行い、教育の外注化は極力避けること
  5. 家庭での学習の積み上げが一番大事であることを踏まえ、家庭学習の時間はしっかり確保すること

受験が初めての方には見通しがもてない分、11月スタートの時点から相当力を入れて学習することになるのですが、怖い先生役をお母さんが演じてしまうと、学習があまりうまくいきません。受験対策においては、良好な母子関係の確立が重要ですから、マラソンの伴走役を担う感じで、目標に向かって一緒にがんばる関係を作り上げてください。

関西方面で私立小学校の創立が相次ぎ、世間全体として、小学校受験が話題となることが多くなりましたが、それによって、間違った情報が流され準備教育が過熱する危険があります。中学校入試のように、難しいことをトレーニングするのが受験対策だというような流れができていく危険性がありますが、小学校側が課す入試問題は、実際に見ていただければお分かりのようにまともな問題ばかりです。受験対策が誤った方向に過熱し、その悪影響を幼児たちが受ける危険は常につきまとっています。そうした苦い経験を首都圏では20年以上も前にしています。多くの問題を乗り越えて、今の準備教育があるのですから、外的要因によって、まともに行われている入試準備の教育が混乱しないよう願っています。その意味で、現場の私たちには大きな責任があると考えています。どうか、正確な情報を持ち、根拠のないうわさや、霊感商法にも似た業者サイドの悪質な勧誘に気をつけて、まともな幼児教育を実行してください。その結果が、志望校合格につながるはずです。

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