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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

父親の役割

2005/05/26(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可
 こぐま会では、10年以上前から受験生の父親を対象に「父親セミナー」を開いてきました。父親対象のセミナーを開かなくては・・・と思ったきっかけは、進路相談に見えたご両親が面談中、学校選択をめぐって私の前で口論をはじめてしまったことがあったからです。なぜそんなに食い違うのかを考えたとき、ご両親が違った環境で育ち、子育て対する考え方が違うということも確かにあるのですが、そのことと同時に母親の持っている入試情報と父親のそれとがあまりにも違うということが最大の原因のようでした。小学校入試における父親の情報量の少なさを知ったとき、最小限の入試情報を父親にも持ってもらうことが必要と考えました。それ以来、毎年4月と7月に「父親セミナー」を開き、今では大勢のお父さん方に参加してもらっています。また、今年から会員を対象に、模擬面接や願書の添削をセットにした「父親のための連続講座」を開いたところ、多くの皆さんに関心を寄せていただき、電話回線がパンクするほどのお申し込みがありました。

 小学校入試に関して父親の果たす役割は、学校選択や願書書き、面接への出席等大事なことはたくさんありますが、これまではどちらかというと、母親が中心で準備を進めてきたご家庭が多かったと思います。学校側も雙葉小学校の母子面接に象徴されるように、母と子の関係を見れば、その家庭の様子がわかると考えてきた面も確かにあるように思います。しかし、時代が変わり女性の社会進出が急速に進み、父親が子育てに積極的に参加していくことが社会全体からも要請されてきている時代になりました。出産を終えるとまた仕事に復帰する女性も珍しくありません。父親が果たす役割が10年前と現在とでは相当違ってきているのではないのでしょうか。事実、小学校入試の面談でも、父親に対する質問の内容が、10年前と現在とでは大きく違ってきているように思います。たとえば、以前は子育てのことは母親に、父親には仕事のことや、社会で問題になっていることに関する質問が多かったのですが、最近では父親が子育てに積極的にかかわっていないと答えられない質問が増えています。面談直前に母親と父親が答え方の練習をしただけでは対処できない問題がたくさん出されています。その意味で、小学校入試の準備教育に父親の果たす役割が以前よりも大きくなっているように思います。もしかしたら、雙葉小学校でも父親参加の三者面接が復活するかもしれません。

 また、日ごろの家庭学習においても、母親まかせよりも父親が少しでも参加することによって、子どもの心の状態が良好に保てることをたくさんの実践例で見てきました。小学校入試はそれまでの「子育ての総決算」ですから、父親の協力があるかないかでは、合否にも相当影響してくるはずです。こぐま会の合格率が高いひとつの要因は、父親の参加を積極的に後押ししているところにあると考えています。

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