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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

教材作りの現場から

2005/06/02(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会は、授業のために開発した教具・教材を家庭学習用に練り直し、これまでに60点の教具・カード教材、100冊のひとりでとっくん単元別問題集、85冊の受験用ペーパー教材を「こぐまオリジナル教材」として開発してきました。6月1日現在、全国主要都市64店舗の書店で販売しています。最近ではどう見ても外見が同じの類似品が多く出回り、作り手として不愉快な想いを味わっています。法的な手段を考えていますが、どんな業種でも良い商品は盗まれ・真似られる運命にあるのかと思うと反面、この国の知的財産はどのように守られるのか、はなはだ疑問に思う面もあります。子どもの教育のために十年以上も費やして実践現場で独自に開発してきた教具教材が、商売の道具にされていく現状を目の当たりにするにつけ、やりきれない想いにかられます。

 私は33年間幼児期の基礎教育のあり方を、一実践者として現場にこだわり、考え続けてきました。この「現場主義」というべき発想は、教育者である限りずっと持ち続けようと考えています。ですから、教材作りにおいても、大学の教授や研究者ではなく、実際に子どもの教育に日々当たるものが開発すべきだと考え、私をはじめ、こぐま会の現場教師が自分の実践活動を総括する意味で、教材作りに携わっています。それだけでなく、教材制作に専門に携わるスタッフも、出来る限り授業実践の場で子どもたちに接し、「絵はどのくらいの大きさがいいのか」、「どんなタッチの絵がいいのか」「言い回しはどのようにしたらいいのか」・・・等、教材制作に欠かせない感覚を磨いています。

 問題の中身を考える現場教師と、それを具体化する制作スタッフが常に子どもと接し、子どもの発達に合わせて教具教材を開発しているところが、他のメーカーと決定的に違う点ではないかと思います。幸い、使っていただいている大勢の皆様から「使いやすい」「子どもの理解力に合わせて系統化されている」というお言葉をたくさん頂戴していますが、教材作りの過程を見ていただければ、なぜそうなのかが分かっていただけるのではないかと思います。

 商品として販売している以上、真似られることはある程度予想していましたが、あまりにもそっくりなので、私自身がびっくりしています。しかし、オリジナル教材と真似て作られた教材とでは「子どもの発達観」や「学習の系統性」という点が異なっていますから、教材を通して、子どもや指導するご両親に伝わるものはまったく違うはずです。その意味で、偽物はいずれ淘汰されていくと思います。

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