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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

推理 基礎1 回転推理4 魔法の箱(1)

2007/08/03(Fri)
 「魔法の箱」と称される箱を通ると、ものの数・色・向きなどに一定の変化が起きます。その規則性を発見し、どのように変化するかを考えさせるのが「魔法の箱」の問題です。

 (例題) 「星の箱」、「月の箱」二つの魔法の箱があります。

図1
図2

 この箱が次のように並んでいると、はじめに入れた形は最後にどのようになって出てきますか。その形を描いてください。

図3
図4

 図3では、「白い車」がまず星の箱を通りますから、ここで色が変わって「黒い車」になります。次に、月の箱を通るので「逆さの黒い車」となります。
 一方、図4では月→星→月と箱を通りますから、それぞれの箱を通るたびに「逆さの白い木」→「逆さの黒い木」→「普通の黒い木」となります。つまり方向は、2回変化するので、元に戻りますが、色は1度の変化のみなので、白から黒へ変わるだけになります。

 こうした問題では、それぞれの箱を通るとどのような変化が起きるのかを、例を見て理解しなくてはいけません。はじめに行うことは、「法則性の発見」です。図1の「星の箱」では、白い家が黒になり、反対に黒い家が白になりますので、そこから「色が変わる」という法則性が考えられます。また、図2の「月の箱」では、普通に立っていた家が逆さになり、逆さの家が普通になるので、これは「向きが反対になる」という法則だということがわかります。
 この「魔法の箱」は、子どもにとってかなり難しい課題です。要因は3つあります。一つ目は、箱に入る前と、箱から出てきた後とを比較する事がなかなか難しく、法則性を発見していくことがうまくできないことです。
 二つ目は、そこで起きた二つの事象の共通性を捉えることがうまくいかないことです。ひとつの魔法の箱で、2つの例を出す理由は、1つの変化だけでなく、その反対の変化も見せて、その共通性から変化の法則性を考えさせるためです。「色が変わる法則性」であれば、白が黒になること、黒が白になることの両方の例を示さないといけないわけです。しかし、子どもにとっては、何のために2つの例を出しているのか良くわかっていないと思います。また、その2つの例から法則性を正しく理解することは、なかなか難しいと思われます。授業中にこうした課題を扱ったとき、「どんなお約束?」と聞いても、はっきりと法則性を言語化できる子は、そう多くありません。
 3つ目は、子どもは、法則性を前提にしてそれを別の事象に当てはめ、次はこうなるであろうと推測する事が苦手だということです。図3・図4のように、2種類の箱がいくつかつながっているとき、順序正しくはじめの箱から出たらどう変わったか、次の箱から出るとどう変わったかを一つ一つ抑えてしっかり捕らえていくことが必要ですが、それがなかなかうまくいきません。
 それではどうしたらこうした課題ができるようになるのでしょう。次回は、魔法の箱を使った数の変化に焦点を当てて、もう少し詳しく「魔法の箱」と考え方を見ていきたいと思います。

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