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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

図形基礎 図形模写をきちんと描くために(3)

2006/07/07(Fri)
 今回は、図形模写の最終回として、図形模写それ自体について考えていきたいと思います。図形模写で必要とされる要素は、次の二つです。

 ア) 図形それ自体が正しく描ける
 イ) 図形と図形との関係を正しく描き表わすことができる。

 ア)については、ここ2回でお話してきましたように、一つ一つの線がしっかり描ける力と、見本と同じかどうかを見極める図形的な見方が必要とされてきます。その点については図形模写の基礎となる「線の模写」と「欠所補完」を十分に練習をしていけば、複雑な図形でなければ描けると思います。しかし、図形が複雑になってくると、今度は技術的な側面から、図形認識の力が問われてきますから、図形を正しく描き表すことが難しくなってきます。最近の入試では、立体を描いていく課題が多く出題されています。これがなかなか難しい課題です。どこが難しいか立方体の模写を例に挙げて考えてみたいと思います。


 見本のような立方体を描く課題が出ても、しっかりと描ける子は多くはありません。平面に描かれたものから、立体的なものをイメージしていくことはなかなか難しいことです。立方体全体を1つの積み木としてイメージできずに、一つ一つの面にこだわって、描いてしまうと、(1) のようなまるで立方体の展開図の様になってしまいます。確かに立方体はそれぞれの面の構成でできていますが、そこにはそれらをつなぐイメージがなくてはなりません。かなりイメージができても、それが不十分であると、(2) の様になってしまいます。(3) はかなりよく描けていますが、右下の辺が斜めにならずに、まっすぐに描いてしまっています。線の模写のところで、斜めの線をきちんと描いていくことが難しいことをお話しましたが、それがここでも出ています。

 それでは、こうした立体図形を正しく描いていけるためには、どんな練習が必要なのでしょうか。もちろん立体図形を繰り返し描いていくことが必要です。このことを通して、縦の線はまっすぐに、横の線は斜めにかつ平行になるように描くことを学んでいきます。立体の模写の課題は「ひとりでとっくん19 図形模写」 の中に多く載っていますので、それを使ってください。

 しかし、それだけではいけません。図形の認識能力が高まっていかなければ正しく描けません。積み木の構成を繰り返し練習することによって、立体感覚を身につけてください。また、立体だけでなく、いろいろな平面的な図形パズルを繰り返し練習することによって、平面図形の見方も身につけてください。そうすることが、イ)の○と○をくっつけて描いたりするなどの図形と図形との関係を正しく表して行くことにつながってきます。

 このように図形模写についても、図形を認識していくことがどうしても必要になります。そして、その力をつけていくためには、平面においても、立体においても図形構成が最も有効な手段になっていきます。とにかく、繰り返しパズルや積み木の練習をしっかりと行なうことをお勧めします。

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