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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

その20 数 基礎 分類 仲間集め1

2005/11/20(Thu)
観点を変えた仲間集めとその課題

   数の領域には、これまで取り上げた「等分」や「一対一対応」などの数を操作していくことを扱う内容と、数の前提となるものの見方考え方を扱う「分類」とがあります。今週から「仲間集め」「仲間はずれ」「二者の異同」「私は誰でしょう」など何回かに分けて、この分類について考えて行きたいと思います。 分類において最も基本とされるものが「仲間集め」です。「仲間集め」は、分類基準を何に取るかによって仲間の中身が変わってきます。例えば具体物の「お茶碗、箸、カップ、スプーン、お鍋、おたま、包丁、まな板」を仲間集めしたとします。

 分類観点は次のように考えることができます。
1.「用途」で分ける
食器「お茶碗、箸、カップ、スプーン」、台所用品「お鍋、おたま、包丁、まな板」
2.「いつも一緒に使うもの」で分ける
「お茶碗と箸」「カップとスプーン」「お鍋とおたま」「包丁とまな板」
3.「材質」で分ける
金属でできている物「お鍋、おたま、包丁、スプーン」、
木でできている物「箸、まな板」、瀬戸物でできている物「お茶碗、カップ」

 この様に仲間集めすることを「観点を変えた仲間集め」と言います。この観点を変えることが子どもにとっては難しいのです。この時期の思考の特色は、「知的自己中心性」では、ひとつの観点に固執してしまうと、そこから抜け切ることがなかなかできないのです。いわゆる、いろいろな角度から物を見ていくことができないのです。

 この「知的自己中心性」を脱却して、いろいろな角度から物を見られるようにすることが、幼児期の大きな教育課題のひとつです。それでは、どうしたらこの観点を変えた分類が出来るようになるか、その学習方法を具体的に考えていきましょう。

 「仲間集め」の観点は前述した例では、「用途」「いつも一緒に使うもの」「材質」の3つでしたが、それだけではありません。「形」、「色」、「触感」、「硬さ」、なども考えたら実にいろいろなものがあります。素材そのものが持っている様々な特性が問題になってきます。そう考えると、分類を考えていく出発点は、日常生活の中で、具体物をしっかりと観察することなのではないでしょうか。子どもたちの身近にある生活用品からはじめて、それらの名前、使い方、材質、色、形、がどんなものであるかを考えさせるといいと思います。このうち用途は使っているところを見ていればよくわかりますが、名前がわからないもの(お椀、しゃもじ、湯飲み茶碗、急須など)もあります。1回では覚えられなくても、何回か繰り返していく中で覚えていくでしょう。また、材質もなかなかわかりにくいものです。磁石などを使って、それにくっつくかどうかを調べる中で、その材質を考えさせるといいと思います。

 青山学院初等部の入学試験で、ひとつのものを見て、その特徴をできるだけたくさん言語化させる課題が毎年のように出題されています。今年も、男子は、洋服ブラシのようなもの、女子はきのこか海藻のようなものが出題されました。(女子で出題されたものの正体はいまだ不明です)これも、一つのものをいろいろな角度から見ていけるかどうかを見るものです。こうした課題が出来るためには、日常的にものをきちんと見る目を養うことが絶対に必要とされます。スーパーやデパートなどにお出かけの際に、こうした珍しいものを見る機会も増やしていただくと良いと思います。

 次回は、カードを使った「仲間集め」の方法をお話しする中で、「観点を変えた仲間集め」の学習方法に具体的に触れて行きたいと思います。

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