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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

4年ぶり 広島での講演会

第873号 2023年10月20日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 コロナ禍の3年間、さまざまな行動制限で実現できなかった広島での講演会を4年ぶりに開催することができました。会場である大木スクール にお集まりいただいた保護者さまと、オンラインでご参加いただいた方、合わせて100名ほどの皆さまを対象に「正しい幼児教育のあり方」という演題でお話しさせていただきました。
大木スクールと提携し、こぐま会広島校を開校したのは2015年です。それから8年、広島大学附属小学校、安田学園小学校、広島大学附属東雲小学校を目指す子どもたちに、KUNOメソッドの内容と方法で受験指導をした結果、昨年度は広大附属小に57名、安田小に26名、東雲小に53名の合格者を送りだし、合格者数において広島市で1~2位を争うまでになりました。
私は、セミナーの冒頭でこの数字の意味をお伝えしました。それは、数が多いということではなく、事物教育対話教育による幼児期の基礎教育をしっかり行ったうえでの合格者数であるということです。手っ取り早いペーパートレーニングや過去問トレーニングではなく、将来の教科学習の基礎をしっかり身につける幼児教育を実践し、そのうえでの入試結果です。合格さえすればどんなやり方でも構わないというのではなく、将来の学習の基礎として意味のある幼児教育を実践した上での合格者数です。合格がゴールではなく、新たな学習のスタートであるという考え方で入試を突破できたという事実に意味があるのです。小学校受験がビジネスの対象になり、教育の原則を逸脱した受験指導がもてはやされる現在、幼児期における基礎教育を徹底することで、合格を目指す、本物の受験対策を大勢の皆さまに実践していただきたいと願っています。

セミナーは次のような内容で行いました。

  1. 学校側は、入試で何をみようとしているのか
     (A) 教育を取り巻く現状
     (B) 小学校受験をめぐる現状
  2. 広島大学附属小学校を中心とした領域別問題傾向
  3. 入試にとって大切な10の思考法
  4. こぐま会が提唱するKUNOメソッドの内容と方法
     (A) 教科前基礎教育
     (B)事物教育
     (C)対話教育
     (D)3段階学習法
  5. 考える力とは何か 入試問題を一緒に解いて考えてみよう
  6. 幼児期の基礎教育を徹底する中で合格を目指す

広島大学附属小学校と安田小学校の最近5年間の入試を分析してみると、かなり工夫された問題が多く出されていることに気づきます。10年ほど前は、首都圏の学校の方がかなり難しいという感じを持っていましたが、今やその差はなくなり、問題によっては首都圏よりも工夫された難しい問題が出されています。領域ごとに見ていくと、その領域で最も難しいとされる問題が数多く出されています。たとえば、四方からの観察、回転推理、魔法の箱、折り紙を使った線対称、つりあい、一音一文字、しりとり、重ね図形など、首都圏の受験でもよく取り上げられる問題が中心になって出題されています。このことを見ると、以前のように首都圏の入試が先行し、地方の入試がそれを追いかけていくという構図はありません。地方の学校でも優れた良い問題が出されているといえます。それは、こぐま会が発行している「ひとりでとっくん」シリーズの3,000枚のペーパーが、入試のための教科書になっているということの表れかもしれません。セミナーでは実際の入試問題を一つずつ解説し、何が求められているのか、そしてどこで子どもが躓くかを具体的に提示しました。

そうした入試の現状を踏まえ、これから1年間の準備教育をどのような内容で、どんな方法で行うか、事物教育・対話教育の重要性をお伝えしました。特にKUNOメソッドの授業スタイルである3段階学習法を紹介し、皆さまにペーパー主義の教育に代わる正しい受験対策の在り方を理解していただきました。特に「入試にとって大切な10の思考法」には多くの皆さまが関心を持たれたようでした。領域を越えて学ぶことの意味や、考える力の源泉が「生活や遊び」にあること、そして教室に預けるだけでなく、生活や遊びの中にある学びのチャンスを生かしていただきたいことをお伝えしました。そして、わたしたちの最終目標である「幼児期の基礎教育を実践する中で合格を目指す」ことの大事さを訴えました。

講演会終了後に、参加者の皆さまよりアンケートでご感想をいただきましたので、一部をご紹介いたします。
  • つまずいたときに戻れる基礎の大切さ
  • ダメなところを見るのではなく、良いところを探すことの大切さ
  • お父さん、お母さんとどんな遊びをしていますかと質問があったときに、私自身しっかり娘と遊んであげられているかと考えさせられました。今後気を付けて過ごそうと思いました。
  • 教えられたものはすぐ忘れるが、経験から得たものは忘れないという話。
  • 子どもが(壁に)ぶつかったときに、自分で考えて間違いに気が付いたり、解決する力を身につけるために基礎をしっかりしたり、なぜ間違えたのかを一緒に考えたり、考えの過程を認めてあげることが大事ということが心に残りました。
  • どこの学校に行ったとしても、そこで何を目指すのか、何を獲得するかという考え方で学校選びをしたらよい。
  • 東京と広島の小学校受験の違いがわかりました。
  • 自分の時代とは全く違う。偏差値至上主義の詰め込み教育だったので、「学び」というものを改めて考えさせられました。
  • 講演会有難うございました。「学ぶことは楽しいね」「勉強は楽しいね」と思える幼児教育、3段階学習法の必要性を大切にし、家庭教育、生活に取り入れたいです。
  • 入試を意識するのであれば、ペーパー重視と思っていましたが、やはり日常生活での体験や思考が大事だと改めて感じました。どうもありがとうございました。
  • 幼児期の学びは身体で感じて、わかることが大事ということ。ペーパーだけでなく実際に親と一緒に感じる必要があることが理解できました。

※次号掲載は11月3日です
 こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)

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