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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

基礎学習を入試レベルの課題にどうつなげるか

第837号 2022年11月25日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会では10月末から第41期の授業が始まりました。受験を目指すばらクラスの授業は来年3月いっぱいまでの基礎学習を踏まえて、4月以降応用段階の学習で過去問等にチャレンジすることになります。受験生の保護者の皆さまは、一日でも早く過去問を解けるようになってほしいという想いで、学習の最初の段階から難しい過去問に飛びついてしまいます。そのお気持ちは理解できますが、それでは子ども自身が自ら考え、試行錯誤し、正解にたどりつく、主体的な積み上げの学習にはなりません。

毎年、新しい年度の授業が始まると、すぐに過去問を持ってきて「先生、この問題が解けないんです」と相談にみえる保護者の方がいらっしゃいます。見せていただくと、入試問題でも相当難しいレベルで、とても1回や2回の学習で解けるものではありません。それを与えて解かせようとするのですから、子どもたちは何も理解しないまま、ただ教えられたとおりに作業し答えを出します。しかし、そのやり方がどんな意味を持つのかもわからないまま取り組むため、こうしたことを繰り返しているあいだは、「考える力」はもちろん基本的な考え方も身につきません。

難しいことばかりやるのが受験対策ではありません。基礎をしっかり身につけ、自分の力で新出問題に取り組んでいかなくてはなりません。長い間子どもの指導に当たってきた経験から、難しい入試問題の出来不出来は、基礎がしっかり身についているかどうかが分かれ目になるということがわかっています。間違えた子どもの何が原因かを探っていくと、結局のところ一番基本的な作業ができているかどうかに行きつくのです。例えば、旅人算の基礎となる「飛び石移動」の追い越しや出会いを求める問題も、「コマの動かし方」の作業が正確にできるかどうかにかかっています。そこが徹底していないところに間違いの大きな原因があることがわかっています。

コロナ禍で家庭学習の時間が取れるようになったのはいいことだと思います。しかし、家庭学習のやり方に大きな問題があると感じます。それは、一言でいえばやさしい「基礎」をおろそかにする傾向にあるということです。しかしそうではなく、基礎を繰り返し練習し、しっかりと身につけてから「過去問」に取り組むことが大事です。そのために、「今の学習が入試問題にどうつながるか」という視点での授業解説動画の配信をこの11月から始めました。日常授業の内容が入試問題にどうつながっていくか、どこで間違いが起こりやすいのかを具体的にお伝えするという目的で、昨年から始めている「こぐま会Webレッスン」と併せて、ばらクラス生の皆さまにお届けしています。「step2-2 位置表象の学習」についての説明動画をここにご紹介いたしますので、ぜひご覧ください。


今回ご紹介した動画は、「位置表象」領域の「左右関係」の単元です。空間認識に関する入試問題の多くが、左右関係の理解を前提に作られています。「四方からの観察」「方眼上の移動」「地図上の移動」などがそれにあたります。そうした入試問題の基礎を今回の学習課題にしていますので、基礎をしっかり身につけてから、過去問等難しい問題に取り組んでいただきたいと思います。こうした基礎学習がなぜ大事かが伝われば、最初から過去問に取り組むといった間違ったやり方は減っていくと思います。


※次回の更新は12月9日(金)です

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