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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

会話力を高めておくこと 2007年度入試問題より(1)

第81号 2006/11/17(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 12月7日に行われる「私立小学校入試分析セミナー」に向けて、今年行われた入試の問題分析を始めています。学校側がどんな能力を子どもたちに要求しているのかを具体的に明らかにしたいと思います。今年の問題については、「論理的思考力」がどのような形で求められているのか、また、「国語力」を重視した問題がどのような形で出されているのかに関心があります。それは、新指導要領において国語を学習の基本に据え、「論理的思考力」を重視した教育内容に変えていこうと考えている文科省の方針が、小学校入試にも影響してくるのではないかと考えているからです。

 今年、ある学校で次のような問題が出されました。
インタビュー
子どもたちが教室の中を巡りながら質問をし合う。各自が15部屋ほどの升目が書かれた紙を持っている。自分の質問に相手が答えたら、相手の紙の升目の中にをつけてあげ、同時に相手の質問に自分も答えて、相手にをつけてもらう(質問内容は「好きな色は何ですか?」「好きな動物は何ですか?」など自由)。これを、質問の内容や相手を変えて繰り返し行う。

 この問題は、子どもたちの会話力をみる問題ですが、こうした問題が出される背景には,「今の子どもたちは会話する能力が極端に劣っている」という認識が学校側にあるからです。ですから、小学校1年生の最初の保護者会では、どの学校でも「親子で会話する時間を十分に取ってください」といわれるのです。実際、私たちの教室でも、ペーパー学習は十分できるのに、自分の意見や感じ方を言葉で表現することが極端に苦手な子が、年々増えてきているように思います。行動観察として行われる集団活動において、相談して絵を描いたり、廃品物製作を行うような場合、一言も口を開かずただ黙々と参加しているような子が必ず何人かいます。こうしたタイプの子は、どんなにペーパーで高得点しても、合格できないケースが目立ちます。

 「国語力」といっても、幼児の場合は,「聞く力」と「話す力」が中心になりますので、「読む力」「書く力」は入試には直接関係はありません。聞く力の代表として「話の内容理解」があり、「話す力」の代表に「お話作り」がありますが、今後はこの「話す力」の内容が多様化してくると思います。自分の言葉でしっかりと「答え」の根拠を説明できるような力を身につけないと、これからの入試には対応できなくなっていくはずです。

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