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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

合格のための学習法(11) なぜこの時期にやさしい問題を間違えるのか

第74号 2006/09/29(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 都内の小学校の多くは、10月はじめに願書の提出があり、その後すぐに面接が始まります。ご両親にとっては、今が願書の仕上げで一番忙しい時だと思います。願書提出が終わると、子どもと向き合う時間も確保でき、最後の総まとめの学習に全力を注ぐことになります。ただ、直前1ヶ月の学習のやり方しだいでは、子どもが自信をなくしたまま、本試験に突入ということにもなりかねませんから、十分な配慮が必要です。

 9月初めに行われた「第2回合不合判定テスト」の結果が返却された後、多くの方々から相談を受けました。相談内容の多くが学校選択のことですが、もうひとつ多かったのは、以前と比べて「偏差値が落ちたのでどうしたらいいか」という相談です。こういう場合は、どこで、どんな間違いをしたのかを見なくては適切なアドバイスができません。偏差値だけの比較では対策の立てようがありませんから、テストの結果を詳細に記録した「テスト本」を持ってきていただき、それを分析することを通して、その後の学習方法を具体的にお伝えしています。

 ところで、9月という時期は、例年いろいろな問題が起こりやすい時期でもあります。夏のがんばりの反動で、これまで興味を持っていた学習に興味を示さなくなったリ、テープでの聞き取りや時間制限を極端に嫌がる子が現れたり・・・ひどい場合には、トイレが極端に近くなったり、チック症状が出たり・・・と体にも変化が現れてきます。子どもたちに相当なプレッシャーがかかっていることがわかります。

 テスト結果に現れる間違いの原因のひとつは、たくさんの課題をこなしてきた結果、テスト問題を見た瞬間に「予想立て」をしてしまい、それが指示内容と合致しなかった時に起こる混乱です。難しい問題をたくさんやってきた結果、質問内容を素直に聞き取れず、易しい問題をかえって難しく考えて解こうとしてしまうのです。基本的な問題であるにもかかわらず、繰り返し練習してきた難しい問題と勘違いしてしまうのです。その結果、難しい問題はできて、易しい問題を間違えてしまうのです。特に、複合問題の指示の聞き取りが正確にできないところが目立ちます。

 課題がまだ十分整理されていないのでしょう。だからこそ、この10月はもう一度基本に戻ることが必要です。やさしいことをやるという意味ではなく、難問も含め、これまで学習してきた内容をもう一度整理してあげることが大切です。この時期に、難しい問題を繰り返しやったら、ますます混乱は広がるばかりです。
 入試直前の対策は、まず健康管理をしっかりすることです。そして、失いかけた自信をもう一度取り戻し、子どもらしい輝く眼で、本試験に望むことです。それが合格への第1歩です。

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