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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

来年秋の受験をめざす方へ (2)

第71号 2006/09/08(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 9月に入り、来年受験される方の入会相談が増えています。「どのような考え方で、1年後の受験をめざして学習したら良いのか」という、家庭学習の方法についてのご相談が一番多いようです。そうした相談に応じながら、いつも感じることは、小学校入試の現状を正確に把握していない方が多いこと。また、ペーパートレーニングこそが受験対策だと考えている方が予想以上に多いということです。それは、多くの受験指導者が、そのように考え実際に指導しているからでしょう。しかし一方で、幼児の発達を具体的に把握している指導者は、ペーパー主義の受験対策では、現在の小学校入試には対応できないということを十分把握し、私たちと同じ考えで「事物教育」を中心とした指導を行っています。

 受験対策を考えるにあたり大事なことは、現在の小学校入試で何が求められているかを把握することです。また、そうした求められている能力を身につけるために、どのような学習を積めば良いのか、その学習の順序性を把握することです。その二つがしっかり把握できていないと、1年前から何の脈絡もなく、過去問をただ機械的にトレーニングすることになってしまいます。これでは合格は望めません。

 また、受験1年前から過去問に取り組まなければと考える多くの方は、年中の秋から年長の秋までの1年間に、子どもの思考力がどのように成長するのか・・・その道筋がわからないのです。初めてのお子さんの受験であれば、経験もなく仕方がないことですが、少なくともベテランの指導者であれば、経験上よくわかるはずであるし、2人目・3人目の受験であれば、母親にも大体の見通しがつくはずです。数概念の発達も、空間認識の発達も、もっとはっきりとわかる描画の発達も、この1年間の変わりようは「すばらしい」と表現するのがふさわしいほどの変化が見られます。そうした見通しに立ってこそ、初めて系統的な学習計画が立てられるのです。それが、受験指導に携わる教師の責任でもあるのです。

 私たちが一番重視している「学習の順序性」を踏まえないトレーニングでは、教育効果を望むことはできません。機械的な教え込みで解決するのならまだしも、子どもに「自ら考える力」を身につけさせるには、物事に働きかけるチャンスをたくさん作らなくてはなりません。それこそが、事物教育を必要とする最大の理由です。

 1年後の受験に向けて、その第一歩を踏み出さなくてはならない今、ぜひ知っておいていただきたいことは、以下の3点です。
  1. 正確な入試情報を持つことが、有効な対策を立てるために必要なこと
  2. 今入試で求められているのは、「知識」ではなく「考える力」「問題解決能力」であること
  3. 論理的思考力を育てるには、学習の順序性を踏まえたトレーニングが大事であること

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