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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

37期生を迎えます

第648号 2018年11月2日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 11月はじめの入試期間は日常授業がお休みになるため、10月23日から37期生の新学期が始まり、新しいクラスがスタートしました。今年、恵比寿で36回目の入試を迎えたことになります。1年間の指導が終わり、入試に送り出す子と、新しく始まるクラスに迎える子と、10月の最終週は新旧の入れ替えで大変な時期です。昨日から始まった都内の入試も当分続きますが、この入試期間の時期は、私たち職員にとっても大変大事な時期です。日常のクラスは1週間お休みになりますが、入試が始まってからのわれわれの最大の仕事は、子どもたちからの問題の聞き取り調査です。毎年、試験が終わった子どもたちに教室に来てもらい、受験してきたその日に入試問題の聞き取りをするのです。この仕事が入試に携わるわれわれにとって、来年以降受験する皆さまに入試情報をお伝えするために必ずやらなければならない仕事です。保護者の皆さまにもご協力いただき、面接試験の様子や、当日の試験会場の様子などをお聞きします。1人だけの聞き取りでは不十分ですから、同じ学校を受けた子ども10人以上にお願いし、全体像を明らかにします。1人の子どもの記憶には限界がありますが、10人以上も聞き取ると大体が判明します。子どもに聞く場合もコツがあって、ただ聞くだけでは子どもも正確には伝えられません。予想される問題をあらかじめたくさん用意し、それを見せながら子どもたちの記憶をよみがえらせます。ですから、話の内容理解の長いお話も、実際のお話にかなり近い形で再現できているのです。こうして集めた情報を受験生に公開するために、学校別指導の担当者が子どもたちの取り組みをイメージしながら問題の分析をします。こうして出来上がった資料を、毎年「教室指導者からのメッセージ」という形で提供しています。いくつかの出版社や塾も同じような方法で過去問を出版していますが、こぐま会の情報が一番正確だと評価されていますし、これまで学校側からクレームがついたことはありません。それどころか、正確に再現する子どもたちの記憶の確かさに学校の先生方も驚き、賞賛しています。

学校側から正確な情報が公開され、また子どもの指導にあたる塾が正確な情報を保護者に伝えていれば問題ないのですが、学校側も入試に関する情報はほとんど公開せず、塾側も自分たちの都合のいいように、生徒集めの手段として間違った情報を拡散しています。間違った噂話を流しているのは、ほとんどが塾側の仕業です。こうした状況ですから、われわれの行動もほんの小さな力にしかなりませんが、できる限り正確な情報を受験生の皆さまにお伝えし、落ち着いて学習ができるようにしたいと願ってきました。一時期下火になった小学校受験も復活の兆しが見え始め、小さな塾が乱立し始めています。そうなればまた、間違った情報が流される結果になり、初めて受験する方にとっては、何を信じていいのか分からなくなっていくのではないかと心配しています。できるだけ足を使い、自分で情報を集める努力をしないと、噂話で足元をすくわれてしまう結果になりかねません。学校側が何を求めているかをしっかり分析すれば、今のようなペーパー主義の訓練を好ましいと思っているはずがないことが分かります。まともな幼児期の基礎教育と暖かい家庭教育を受けていれば、十分受け止めてくれるはずです。競争心をあおり、受験向けの学習が終わったとたん、勉強に興味を示さなくなるような入試対策を行ってはなりません。「子育ての総決算としての入試」を学校側が保護者に求めているのは、今の受験対策が間違っていると感じているからにほかなりません。

先日広島で行われた受験セミナーにおいても強調したことですが、今の小学校入試では「聞く力」「作業する力」「考える力」が求められています。特に、作業する力や考える力の育成には、「教え込みの教育」では実現できません。事物に働きかける経験をどこかで持たせないといけません。こぐま会が掲げている「事物教育」は、多くの塾で採用され始めていて、こぐま会の専売特許ではなくなりつつありますが、その上に「対話教育」を通して、論理を育てる方法論が必要です。その方法は、一朝一夕でできるわけではありません。

今年の入試がどう行われたか。問題傾向は変わったのかどうか。難問はどのように出題されたか・・・当分の間、問題分析に集中せざるを得ないと思いますが、KUNOメソッドで育った子どもたちの結果は、いずれ公開する予定です。模擬テストを1回受けただけで合格者の数にカウントするような詐欺まがいの行為が、この小学校受験業界では今も続いていますし、これは東京だけではありません。地方の受験においても、また、私たちが関わる上海での受験においても同じような行為が平気で行われています。教育の成果として合格者数を公開するのはいいことですが、他塾で学び、1回模擬試験を受けただけで合格者数にカウントする感覚は理解できません。こぐま会の教材をコピーして「うちの教材です」と売りつけたりする行為とどこか繋がっています。他の業界ではありえない、こうした偽装工作が堂々と行われている以上、教育が正常化するはずはありません。こうした、なんでもありの塾産業に学校側がクレームをつけるのは当然なことです。ビジネス先行の間違った受験対策は、いずれどこかで保護者から見放されていくはずです。他塾から転塾してくる方々からいろいろなお話を伺うと、われわれの想像を超えて事態は深刻です。
※次回の更新は11月16日(金)です

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