ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

合格のための学習法(3)話の内容理解に大きな変化が

第60号 2006/06/09(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 小学校入試でどの学校でも必ず出す課題があります。それは、言語領域の「話の内容理解」です。小学校の国語科では、「聞く力」「話す力」「読む力」「書く力」の4つを教育内容の柱にしていますが、幼児期の教育では「聞く力」と「話す力」の2つが中心になります。その中で「聞く力」の代表格が話の内容理解にあたり、どの学校の入試でも、必ず一問は出されると考えておく必要があります。

 ところで、その話の内容理解の出題方法が最近大きく変化しています。その変化の特徴をまとめると以下のようになります。
  1. 絵本を使うなど、話の中身が以前と比べて長くなった
  2. 従来質問された4つの観点、すなわち、登場人物・順序・数・登場人物の行為について以外にも工夫された質問がなされ、質問内容が多様化してきた
  3. 私たちが他の領域で学習している、たとえば、「私は誰でしょう」「言葉による関係推理」「地図上の移動」「数の操作」などが、質問内容として定着し、今後もさまざまな領域の問題が入り込む可能性がある
 なぜこうした変化が起こっているのでしょうか。それは今、小学校で問題になっている「小一プロブレム」と深く関係しています。小一プロブレムというのは、小学校に入学した最初の学年から授業が成立しない現象を指して言っています。つまり、いすにじっと座って人の話をきちんと聞く態度が身についておらず、授業中も立ったり座ったり、ひどい場合には、教室から外に出て行ってしまい授業が成立しないというのです。こうした点は、私立も例外ではない・・・と考え、学校側も行動観察同様、「聞く力」の態度は相当重視しているはずです。

 もうひとつ大事な問題があります。それは、入試という限られた時間で子どもを評価する場合、小学校に入学する前のどんな能力を評価すべきかという点です。ペーパーでの出来具合が将来の学力を保証するわけでもないし、たかだか10枚前後のペーパー試験ですべてがわかるわけでもないし・・・・そうした中で小学校教育を受けるにあたってのレディネス、つまり準備性として、人の話を集中して聞く態度こそ学力形成の決め手だと学校側が考えているからです。その意味で、話の内容理解は単に「言語領域」の問題にとどまらず、すべての大前提であると考えているからこそ、数の問題も位置の問題も推理の問題も話の内容理解の設問に登場してくるのです。こうした分析のうえに、その対策を考えないと、これからの入試問題に適切に対応しきれなくなってしまいます。こぐま会では、相当前からこうした考え方で対策を練り、大きな成果をあげています。

PAGE TOP