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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

説明能力の育成を

第52号 2006/04/06(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年11月からスタートしたこぐま会の受験クラスは、7つあるステップのうち、ステップ3まで終了し、4月からは、基礎段階の最後のステップの学習に入ります。その後夏休みまで難しい応用問題のトレーニングを行い、8月までに受験関連の単元学習を基礎・応用ともすべて終了します。そして、9月・10月は予想問題による実践的なトレーニングを行います。こうした年間スケジュールの中で、4月から5月はどのような時期かというと、各領域で求められる、基本的なものの見方・考え方が定着し、入試問題で見られる各領域をまたぐ複合問題を自分の力で解けるようになっていく時期です。ステップ4が終了すると、入試問題の8割は自分の力で解いていくことができます。

 自分の力で・・・と言ったのは、教え込まれた解き方ではなく、「なぜそうなるのか」といった質問に対し、自分の言葉で説明することができるという意味です。本当にわかっていなくても○をもらえてしまうことがよくあります。しかし、答えの根拠を説明できなくては、本当にわかったことにはならないし、今の受験はそこまでの対策をとっておかないと、一度も出たことのない問題に対処できません。

 毎年4月にはいると、テストなどを受けている外部生の方の教育相談が増えてきます。その多くが、一通り問題集をやったけれど、ペーパーテスト以外の個別テストや、行動観察で点が取れないということです。いろいろお話を伺うと、11月ごろから徹底して過去問を訓練してきたというのです。実物体験のないままのペーパートレーニングでは、解き方はわかっても、本当の意味での考え方(概念)が身についていかないのです。ですから、個別テストの中心になる、「説明能力」に問題が生じるのです。

 この「説明能力」の欠如は、単に個別テスト対策において、欠陥があるばかりでなく、将来の教科学習の基礎にもなり得ないし、学校側が工夫して出題する、論理が求められる新傾向の問題にも対応することができません。

 暗記や記憶能力の優れた幼児期の子どもたちに、説き方を教え込むことはそんなに難しいことではありません。しかし、それだけでは「思考力」は育ちません。説明能力は、試行錯誤を重ねながら、事物に働きかける実体験の中で、一つ一つの概念を自ら獲得していくことによってしか身につきません。だからこそ、「事物教育」や「対話教育」が重要なのです。

 入試対策を、訓練によって解決できる時代は終わりました。幼児期に必要な「考える力」を育てなければ、これからの入試では合格できません。

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