ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

第8回女子校合格フェア前半を終えて

第337号 2012/4/27(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 女子校合格フェアが始まりました。8回目を迎える今年のテーマは「合格につながる正しい家庭学習」です。その前半部分が4月22日に行われ、大勢の皆さまのご参加で盛り上がりました。22日は、午前中に行った「代表セミナー」と、午後に卒業生を迎えて行った「合格者からのアドバイス」が中心でした。29日には、別な観点からのセミナーを用意し、保護者の皆さまに正しい情報をお伝えしたいと考えています。

午前中に行った代表セミナーでは、以下の内容についてお伝えしました。

「合格につながる 正しい家庭学習」
1. 最近の入試問題の傾向
2012年度の入試より
2. どんな能力が求められているか
(ア) 子どもの気持ちになって問題を解いてみよう
(イ) 入試問題の変遷  問題が難しくなっていく過程
3. 残り半年間の対策
(ア) 学習面の対策
(イ) 行動面の対策
4. 間違った受験対策にならないように。
(ア) 試行錯誤させ自分の力で問題を解かせる。決して教え込まない
(イ) 間違いには必ず原因がある。そのために答えの根拠を説明させる。
(ウ) 親の焦りで、子どもを追い込まない。怖い母の存在は、予想もしない行動を誘発する。

昨年の入試で出された問題を紹介し、出題背景となぜその問題が難しいのか、一問一問解説しました。その上で、実際に出された問題を参加された保護者の皆さまにも解いていただき、学校側の出題意図を感じていただきました。また、今回のセミナーでは、難しいとされる問題がどのような形で出されるか、その問題が過去どのような変遷過程を経て、難しくなってきているのかについても分析しました。その上で、教え込みの指導では絶対に身につかない「思考力の育成」をどのようにしたらよいのかを具体的にお伝えしました。

「飛び石移動(旅人算的発想)」

「一対多対応の応用」

また、今回のセミナーでは、ある学校で出された質の高い問題が他校に波及する実例を具体的に示し、解説しました。過去においてもこうした問題の波及はありましたが、最近は次年度にその類似問題が他校で出されるほどスピードアップしています。そうした現象が、新しい傾向の問題として大きな流れをつくっているように思います。とすれば、受験する学校の過去問練習だけでは不十分です。小学校入試全体で今どんな内容が頻繁に出されているか、新しい傾向の問題がどの学校で出されているか、そうした観点で入試を分析し、その対策をとっておかないと、新出問題に対応できません。これまでやさしい基本問題だけを出していた学校が、急に問題を難しくすることもあります。そうした現状を踏まえ、小学校入試全体を見通した広い観点でのトレーニングが必要です。こぐま会が日常授業で取り上げている内容(セブンステップスカリキュラム)は、幼児期における基礎学力育成のために、最低限必要なものです。その学校で出ないから必要ないという受験対策では、本当の意味で「思考力」は育たないし、入学後の学力を支える土台が不十分なままの対策でしかありません。さまざまな内容の思考訓練が相互に絡み合って、子どもの「考える力」が形成されていくからです。「合格のため」だけの狭い視野の学習では、結局合格できないのが現状です。過去問だけに取り組むような学習では、現在の工夫された問題には太刀打ちできません。効率の良い入試対策だと思われるものが、実は欠陥だらけの対策だということは、入試の現状を踏まえれば誰が見ても明らかなことです。



PAGE TOP