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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

これから1カ月間の家庭学習のあり方が、合否を左右します

第213号 2009/9/11(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 9月に入り、幼稚園も再開し、勉強中心だった夏の生活からやや解放され、子どもたちの表情にも明るさが戻って来ました。一方で、願書の準備や模擬面接等で忙しくなったご両親の表情に、ゆとりがなくなってきたようにも思えます。受験準備でご両親が一番忙しい9月は子どもも精神的に不安定になりやすく、夏の反動とともに学習に興味を持たなくなる時期でもあります。これまで続けてきた家庭学習や親子の会話、絵本の読み聞かせ等は、どんなことがあっても休まず続けてください。また、9月におろそかになった家庭学習を10月に挽回しようと、時間をかけ過ぎたり量を増やしたりするのもあまりよくありません。これから本番の入試まで、生活のリズムはあまり変えないでいくのが一番良いと思います。

さて、こぐま会でも、8月末から最後の総まとめの授業に入りました。各領域の基本となる考え方と入試でよく出される課題を、それぞれ10枚のペーパーにまとめ、テスト形式で行っています。この時期になると、問題の中味の理解が全くできない子はほとんどいません。しかし、テスト形式で行うと得点できることできない子が出てきます。その原因を探っていくといくつかの傾向があるように見受けられます。

  1. 時間が足りない
  2. 質問の意味が一度でわからず、何をどう答えたら良いのかがわからない
  3. 正解できているのに答え方の指示をしっかり聞かず、三角で描くところを丸で描いてしまったり、赤で描くところを青で描いてしまったりする
  4. せっかくできているのに、急いで見直しするために正しい答えを書き換えてしまう

内容が理解できないことはないのに以上のような理由で得点できないのは、この時期毎年見受けられる傾向ですが、これを修正していくのがこれから入試までの課題です。聞き取りに絡む間違いの多くが、これまでトレーニングしてきた問題でありながら、問いかけの仕方が違うために起こる混乱のようです。繰り返しトレーニングし、問題文を聞かなくても解けてしまうようなペーパー問題を使って、今までと違った質問がされると、まったく手が出ないことが良くあります。解き方も含めて、パターン練習を繰り返し行ってきた子ほどその傾向が強くあります。これをひとつひとつ解決していかなくてはいけません。それには、これからの学習法を量から質に転換することです。つまり、たくさんのペーパーを行うのではなく、1枚のペーパーを使って、考え得る限りさまざまな視点から質問を考え、実行することです。質問の視点の変化をもたらす方法はいくつかありますが、最近の入試問題を分析していくと、問題を難しくしていく方法にはいくつかの傾向があることがわかります。

  1. 逆から問いかける(逆思考)
  2. お話によって、最初の場面を変えてしまう(特に数の問題に関して)
  3. 余分な要素を入れ、問題を複雑にする
  4. 回転の要素、移動の要素を取り入れる

以上のような新しい傾向の質問に答えていけるだけの応用力を身につけるには、たくさんのペーパーをこなすのではなく、1枚1枚のペーパーを大事にすることです。どんなことが質問されるかわからないから、お話をしっかり聞かなくてはだめだという姿勢を身につけることです。質問の仕方を変えると、子どもは全く別な問題と感じるようですが、そこで必要とされる思考法に大きな変化はなく、質問の意図をしっかりつかめれば解ける問題がほとんどです。

これから入試本番までの残された時間は、これまでの時間と違ってかなり短時間に多くの課題が復習できます。この入試直前の家庭学習の進め方が、合否に大きくかかわってくることを毎年痛切に感じています。これからの家庭学習では次のような点に気をつけて、自信を持って本試験がむかえられるようにしてください。

  1. ペーパーはテスト形式で行い、1回の指示をしっかり聞く練習も併せて行う
  2. ペーパーは試験の実際に合わせ、5~7枚を1セットとして、テスト形式で行う
  3. その際、基本問題の中に、難しい問題を必ず2~3題入れる
  4. ひとつのことに集中できる時間は30分前後であることを踏まえ、同じ課題を1時間も2時間もやらない。長い時間学習する場合は、目先を変えて工夫する
  5. 朝早い試験に備え、登園する前に、30分~1時間の学習時間を確保する
  6. 試験場でパニックにならないよう、できないこともあるということを経験させておく
  7. できないことよりできたことを大いに褒めてあげ、「自分はできるんだ」という自信を植え付けていく

自信を持って本試験に臨むためにどうするか。ひとりひとり違うこれまでの学習経験を踏まえ、「合格ストーリー」を考えて工夫してください。心配のあまりたくさんの問題をやりすぎて、自信をなくして本試験をむかえるケースもこれまでたくさん見てきました。そうならないよう、これからの舵取りがとても大事です。

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