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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

基本をしっかり

2005/06/23(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可
 昨年11月から始まったこぐま会の受験クラスは、基礎段階の学習を終え、応用段階の「ステップ5」に進んでいます。入試を4ヶ月後に控え、これからは難しい問題に挑戦しなくてはなりません。ペーパーの枚数も増やし、過去問をたくさんやらなくてはなりません。これまで、私たちはペーパーを先行させた学習では「基本となるものの見方」は身につかないと考え、具体物やカード教材を使った経験を豊富に積んできました。「ステップ4」までがその内容になりますが、その学習を終えた今、ペーパートレーニングが意味を持つ時期になりました。私たちは、はじめから過去問を取り上げ、物の見方の基礎が出来ていない段階からペーパートレーニングのみで教え込むことは、「間違ったお受験対策」の最たるものだと考え排除してきました。当然、基礎段階の学習は、「事物教育」と「対話教育」を徹底すべきと考え、実行してきました。年間40週の授業を系統的にカリキュラム化し、テキストもきちんと整えてあります。こうした、基本クラスの方針に対し、「やさしすぎるのでは・・・」と懸念を表明する方がおります。そうした方たちに限って、子どもが物事を理解していく発達の順序性を知らないのです。入試で実際に出された問題を何の系統性もなく学ばせる方法では、基礎がしっかり身につかず、初めての問題や、論理的な思考力が必要な問題になるとお手上げです。

 入試準備は、やり方を間違えると保護者を異常な心理状態に追いやります。たとえば、「だれよりも早く、難しい問題ができるようになってほしい」と考え、そのためならどんな方法でもかまわない、と考える人たちが出てきます。入試の実体を何も知らないまま、難しいことをやることが受験対策だと思い込まされてしまうのです。だからこそ、年中から過去問をトレーニングするという間違った準備教育がはびこるのです。しかし、残念ながら子どもの思考の発達には原則がありますから、そんな間違ったやり方では、基本を身につけることはできません。入試間近になっても成績が伸びず、志望校に合格できないという結果になってしまいます。冷静に考えれば、だれもが当たり前のこととして理解できることが、異常な心理状態である母親には通じないということがよくあるのです。

 基本をしっかり身につけてこそ、はじめての問題に自信を持って取組むことができる

難しいことばかりやることが受験対策ではありません。実際の入試問題をよく見てください。入試問題の8割は基本問題です。その基本となる問題の質が、今確実に変化し始めています。論理的な思考力がしっかり身についた子にしか正解できない、質の高い問題がこれからたくさん登場してくることでしょう。難しいことばかりをやり、基本となるやさしいことを軽視するような準備教育のもとでは、決して合格は勝ちとれません。

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