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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

夏休みの学習対策

第157号 2008/07/11(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会は、今週ですべての基本クラスが終了し、7月14日から「夏季講習会」が始まります。朝8時半から夕方6時まで、たくさんの講座が用意されています。秋の入試を控えた年長クラスの子どもたちにとっては、「飛躍の夏」にしなければなりません。しかし、この夏の頑張りが、必ずしも飛躍の夏にならないケースもこれまでたくさん見てきました。その原因の一つは、子どもの気持ちを無視した大人のがんばり過ぎ・欲ばり過ぎです。子どもを取り巻く人間的な環境が、子どもを押しつぶすこともあるということを知っておかなくてはなりません。具体的な変化として

  1. 9月に入ってから、夏のがんばりの反動で、「もうしたくない」と学習を避ける
  2. 出来 - 不出来に敏感になり過ぎ、難しいと思ったり、できないと分かった瞬間何も手をつけないで投げ出したり、隣を頻繁に見るようになる
  3. テスト結果の返却も増え、その都度結果について親にいろいろ言われるため、自信をなくし、学習への意欲をなくす
  4. チック症状が見られたり、夜尿が始まったり・・・というように身体的に変調をきたす場合がある

こうした変化は、毎年9月になって急に増えます。夏のがんばりの反動でしょうか。そうしたことにならないように、夏の学習の方法をいろいろ工夫しなくてはなりません。入試最大の山場といっても、がんばらなくてはならないのは、子ども自身です。周りの大人のがんばりすぎが、子どもの意欲を阻害することもあるということを知っておいてください。そうしたことを未然に防ぐために、夏の過ごし方・夏の学習の進め方に、細心の注意を払わなくてはなりません。これまでの経験から、どんな点に気をつけたらよいのかを、まとめてみました。

  1. 夏が最大の山場といっても、勉強だけの生活では子どもも精神的に参ってしまう。これまでの生活のリズムを崩さないようにしながら、学習時間を上手に確保する。一方で、発散できる時間と空間を確保してあげること。
  2. ひとつのことに集中できる時間は30分が限度であることを踏まえ、目先をいろいろ変える工夫をしながら、子どもが集中できる環境を整えてあげること。ひとつのことをあまり長時間学習すると、「集中できない - 間違える - 間違えれば叱られる - 叱られれば集中できない - 時間もかかる - 時間がかかれば集中できずにまた間違える・・・・」というような悪循環に陥ります。これを断ち切るためには、時間のかけ方を工夫するしかありません。
  3. 模擬テスト等の結果をストレートに子どもに伝えない。何ができて何ができなかったのかをしっかり把握し、できなかった点を叱り飛ばすのではなく、一緒に考え、解決してあげること。テストが良くできたときには褒めてあげ、できなかったときは、間違いの原因を冷静に伝え、解決するためのトレーニングに力を注ぐ。
  4. 家庭学習でいつも完璧にできるようなタイプの子に限って、教室でできない事実にぶつかると、泣き出したリ、投げ出したりしてしまう。問題によっては、できないこともあると言うことを伝えておくことは必要である。
  5. 毎日どのくらい勉強時間を取ったら良いのかは個人差があるが、1日3時間を目安にがんばること。ただ、かけた時間より、どれだけ深く理解したかを大事に見ていく必要がある。
  6. 厳しい先生役をお母さんが担わないこと。分からないことがあったらいつも一緒に考えてあげるような、マラソンでの伴走者の役目を、お母さんが担ってあげること。
  7. 父親も大いに参加し、母親とは違った役割分担で子どもに接し、子どもの精神的なケアをしてあげること。
  8. 量をこなすことより、深く理解することに力点を置いた家庭学習を実行すること。
  9. チック症状が見られたり、夜尿が始まったりしたら、スキンシップをそれまでよりも多くすること。
  10. よそのお子さんと比べ、焦りを感じないこと。わが子にはわが子の成長のリズムがあることに自信を持ち、時間をかけて見守ること。
  11. ひとつの言葉がけによって、子どもが飛躍的に成長する瞬間があることを知っておくこと。また、その逆も必ずありうるので、自信の喪失につながるような言動は、決して行わないこと。教師だけでなく、大好きなお父さんお母さんだからこそ・・・ということもあることを知っておくこと。
  12. 我が家の夏の計画をあらかじめ考え、無理のない計画かどうかご両親で話し合い、決して、よその真似事をしないこと。

以上のような点を参考に、真に「飛躍の夏」になるよう、充実した夏休みを過ごしてください。

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