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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入試までの2つの山

第106号 2007/06/15(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 6月に入り、願書の配布や学校説明会が本格的に始まり、いよいよ受験する学校を決めなくてはなりません。秋の受験に向けた学習もほぼ基礎固めができ、難問を含めた過去問トレーニングが可能な時期になりました。これから5ヶ月足らずの時間を有効に使い、一番良い状態で入試を迎えるためにどうしたら良いのか。これからの学習の進め方が、合否を大きく左右するといっても過言ではありません。

 こぐま会では、6月17日と24日の両日にわたり、最大規模の「第1回合不合判定テスト」を行います。このテストによってこれまでの基礎学力を総点検し、志望校別の成績分析に基づいて、第一志望校と併願校の絞り込みを行います。志望校の決定は、学校別対策をはじめ、夏休みに行う学習対策のために、この時期にぜひやっておかなくてはなりません。成績の推移を見ながら、最終的な学校選択をしていくのは当然のことですが、「この点数でどの学校が合格できるか」という発想が成り立たない小学校受験ですから、合格につなげるためには、第1志望校の目標をしっかり持ち、そのためにどうするかという発想で、これから残された時間を有効に使わなくてはなりません。志望校が決まらないまま、ただなんとなくでは、トレーニングの徹底性においても問題が残りますし、大変な努力のいるこれからの時期を親子で乗り切ることはできません。

 これから秋の入試までには、越えなくてはならない2つの山があります。そのひとつは夏休み。ここでどれだけがんばることができるかが合否を左右します。またもうひとつは、受験直前期。健康管理を含めた対策が必要になります。何をどう学習するかという側面だけでなく、子どもの心の状態がどうなるかということも含めた対策が必要です。

 夏休みは、基礎学力の点検と難問トレーニングが必要です。基礎学力の点検方法は、ペーパーだけではだめです。答えの根拠を説明させたり、自らが問題を作ってお母さんやお父さんに質問するというやり方も取り入れてください。「会話力」を高めるためにも必要です。また、ペーパーの場合は時間制限を厳しくした「スピードトレーニング」をしなくてはなりません。入試直前期の9・10月はもう一度基礎に戻ってください。しかし、以前にやった易しい問題をそのままやるのではなく、別の角度から問いかけて本当にわかっているかどうかを点検する必要があります。そして何よりも、自信をつけること。この時期に難問ばかりをやらせるのは良くありません。自信をなくした時、回復するのにかける時間が足りないからです。ですから、難問対策は夏休みのうちにすませておくことが必要です。

 子どもの心のケアで一番問題になるのは、夏休みのがんばりの反動が9月に出るということです。ですから、あまり深刻になって夏休みにがんばりすぎてしまうと、そのしわ寄せが9月に来るということも知っておいてください。自信をなくすような言動を慎むことや出来不出来に敏感になりすぎないよう、テスト結果などはあからさまにしないほうが良いと思います。例年、9月になると、チック症状が出たり、トイレが近くなったりする子が見られます。身体に症状が出る前に、きちんと対応しておかないといけません。

 「褒めて育て、自信を持たせて物事に積極的にかかわらせる」・・・幼児期における基礎教育の指導原理は、入試対策にとっても守らなくてはならない大事な観点だと思います。

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