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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

位置表象基礎5 右手・左手の理解2

2008/07/04(Fri)
 前回は位置表象の領域において最も重要な課題となる左右関係について触れました(今何を学習すべきか?122 位置表象基礎4 右手・左手の理解 をご参照ください)。そこで、左右関係を判断していくポイントとなる「右手・左手の理解」のための方法として、次の4つを挙げました。

(1) 子ども自身の右手・左手をしっかり覚える
(2) お母さんやお父さんの右手・左手を判断する
(3) ペーパーに描いてある人の右手・左手を判断する
(4) 手から先の右手・左手、右足・左足、右に履く靴・左に履く靴などを判断する

このうち(1)につきましては、前回触れましたので、今回は、(2)以降の方法について考えていきたいと思います。

自分の右手、左手がしっかり理解できたら、次はお母さんやお父さんなど身近な人の右手・左手を考えてください。お母さんやお父さんがどちらかの手を挙げて、子どもに右手か左手かを判断させる方法がいいでしょう。この際大切なことは、「同じ格好をして考える」ことです。同じ格好をして同じ方の手を挙げて、それが右手なのか左手なのかで判断をします。しかし、この同じ格好をすることがなかなか大変なのです。体は同じ方を向いていても反対の手を挙げてしまうことが良くあります。自分の行動を客観的に見ることが難しいのでしょう。それでも、慣れてくるとだんだんできるようになります。

この場合最も難しい課題は、向かい合っているときです。例えばお母さんが右手を挙げて子どもと向かい合っているとき、その手は子どもの左手側にあります。ですから、子どもはどうしてもお母さんの挙げている手を左手と判断してしまいがちなのです。お母さんと同じ方向を向かずにその場で判断しようとするので、そうした間違えが出てきます。必ず同じ向きで考えさせるように注意してください。

(3)のペーパーに描いてある人の右手、左手を判断することはさらに難しい課題になります。これは実際に目の前にいるお母さんやお父さんと違って、ペーパーに描いてある人を立体的にイメージすることが難しいからなのです。しかし、判断する方法は同じです。自分で同じ格好をして自分自身の右手・左手で判断するしかないのです。難しくとも、ここでしっかり体を使って判断する練習を行っておいてください。こぐま会の授業でも、はじめのうちは体を動かしてしか考えられなかった子どもも、こうした問題を繰り返し解いていくうちに頭の中で考えられるようになります。

つぎは、(4)の手先や足の右左を考える課題についてです。「ひとりでとっくん30 右・左」 の中に次のような問題があります。

右手にをつけてください。左手にをつけてください。 (解答)
上段 一番左、右から2番目、一番右、下段 左から2番目に、それ以外の手は

こうした手から先のものを考えるときも、自分の手を使ってください。手先だけのことですから手を挙げるよりもやりやすいかもしれません。しかし、右手も左手も良く似ているので間違えやすいです。絵と同じように手の形を作る際に注意すべき点は、ひとつは、手のひらなのか手の甲なのかの区別です。これは爪が見えているかいないかで判断するといいと思います。例えばグーの手をしたときには、グーは手を握っているため、上段右のように爪が見えていれば手のひらですし、反対に下段左のように見えていなければ手の甲です。

二つ目のポイントは親指の位置です。上段左と左から2番目のように同じようにパーで手のひらを開いたときでも、親指の位置が異なります。ここに注目して考えるといいと思います。自分の手と絵に描いてある手を比べて、同じにできれば後はそれが右手なのか左手なのかを判断すればいいのです。

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