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週刊こぐま通信
「子どもはどこでつまずくか」(10)

「違いはいくつ?」は難しい

2009年1月23日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

【質問10】
 一対一対応の授業で学習した数の差を求める問題の中で「どちらがいくつ多い」はすぐに理解できましたが、「どちらがいくつ少ない」や「違いはいくつ」という質問になると戸惑っているようでした。どのように考え、指導したら良いでしょうか。

 異なった2つの物の数を比較する方法として有効な「一対一対応」の操作は、数の操作の中でも基本中の基本です。実物であればくっつけてみたり、ペーパーであれば線結びの方法をしっかり身につけ、解決することが大事です。その上でさまざまな質問に答えなくてはなりません。2つのものを比べた同じ状況下で、次の6つの質問が可能です。

1. どちらが多いか
2. どちらが少ないか
3. どちらがいくつ多いか
4. どちらがいくつ少ないか
5. 違いはいくつか
6. 同じ数にするにはどうすれば良いか

この6つの質問の中で、子どもたちにとって難しいのは4と5だと思います。例えば、赤いおはじき11個と、黄色いおはじき9個を比べるとします。それぞれを数えて解決しても構いませんが、はじめは1個と1個をくっつけて調べさせます。そうすると赤が2個余ります。その余った2個を見て、「どちらがいくつ多いですか」という質問には簡単に「赤が2個多い」と答えます。しかし、「どちらがいくつ少ないですか」と問うと、戸惑う子が出てきます。何をどう答えたら良いのかが十分理解できないのでしょう。もちろん多くの子は「黄色が2個少ない」と言えるのですが、中には「黄色が9個少ない」と黄色の数全部を答えてしまうケースも出てきます。少ない黄色2個は目に見えないため、目に見える黄色9個全部を答えてしまうのでしょうか。ここが難しいところです。しかし、そうした戸惑いを見せる子に対し「どちらがいくつ足りませんか」と問うと、ほとんどの子が「黄色が2個足りない」と自信を持って答えられるのです。このように、質問する際に使う言葉の理解が問題となります。同じような事は「違いはいくつ」という問いかけに対しても言えます。「違いはいくつ」と聞いた時、先程の例の場合「2個」と最初から答えられる子はそう多くありません。私たちは具体物を使い、違いがどこに現れるかを具体的に示し、2つのものの差である「2個」とだけ答えれば良いことを伝えますが、慣れない表現ということも含めて、年中の今の時期に「違いはいくつ」という質問は相当難しい質問であることは事実です。

子どもたちが普段の生活や遊びで身につけている言葉と、算数的な言い回し、一般性のある表現については指し示す中身をみせながら、同じ意味のものについては「橋渡し」をしっかりしておかなくてはいけません。言葉の指し示す状況がしっかり伝われば、多少難しい言い回しでも理解し身につけていくはずです。


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