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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

今、どこで差がついてしまうのか (1)

第540号 2016/7/29(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 秋に入試を控えている年長児にとって、この夏の頑張りを「飛躍の夏」にしなければなりません。こぐま会では、毎朝9時から夕方6時まで、さまざまな講座が開かれていますが、そこで見られる子どもたちの理解度の差をお伝えしますので、家庭学習の参考にしてください。今回は入試にとって大事な課題を領域別にまとめました。総合力完成講座と学校別対策講座でみられた子どもたちの取り組みで、どこで差がついてしまうのかの報告です。

(A) 未測量
1. シーソーによる重さの系列化
四者関係・五者関係の重さの系列化は十分理解できているが、余分なシーソーが入った問題や、つり合いの場面が入ったシーソー(A2個とB3個がつりあっているような場合)を見て、1個ずつならどちらが重いかを導き出して解く問題になると、でき具合に差がみられる。
2. つりあい
シーソーのつりあいの問題は、AとBの関係、BとCの関係を踏まえて、Bを仲立ちとした関係を考えることは十分できるようになったが、AからCを問う問題ができてもCからAを問う問題になると、1回の置き換えで終わってしまう場合が少なくない。
3. 関係推理
お話による関係推理の問題もよく理解できてきたが、内容が「距離」の問題になると理解度に差がみられる。
(B) 位置表象
1. 地図上の移動
1つの交差点の曲がり方は完璧にできるが、話を聞いて地図上を移動する場合、地図が伏せられた状態で行う話の内容理解に出てくる移動や、話を聞きながらすぐに動く課題になると理解度に差がみられる。
2. 四方からの観察
反対からの見え方も含め、選択肢問題はよく理解できているが、自分で実際に描いてみる課題になると差がみられる。また、鏡の問題とセットで出されると、まだ混乱が見られる。
3. 回転位置移動
回転の要素が加わるとどんな問題も難しくなるが、その一つである回転した時の位置関係を考える問題が難しい。実際にカードを回転させるなどして、回転の感覚をつかむ必要がある。
4. 飛び石移動
自分で作業して答えを導き出す典型的な問題で、今後いろいろな学校で出される可能性がある。基本的な問題として、
A) 指定された数だけ動いた時、どこに着くか
B) 二者が動く時、どこで追いつくか
C) 二者が動く時、どこで出会うか
等があるが、旅人算につながるBやCの問題になると、間違えるケースが目立つ。作業能力が絡んでくる問題の典型である。
(C) 数
1. 暗算能力
数の構成・数の多少・数の増減などにおいて、暗算能力に大きな開きが見られる。ペーパーのみの練習だけをやっている子は暗算能力に欠け、ペーパーなしで考える問題においては、答えが出てくるまでに時間がかかり過ぎたり、間違えるケースが目立つ。
2. 一対多対応
答えが12を超えるような問題の場合の解き方に差がみられる。すべて暗算でやる必要はないが、答えを導き出す手立てをしっかり身につけておく必要がある。
3. 数の増減
数の増減だけの単独の問題は解けても、複合問題化されて一対多対応や数の多少の問題が絡んでくると、理解度に差がみられる。
4. 交換
A=2B, B=3C の場合、AからCを問う問題はできてもCからAを問う問題になるとわからなくなる子が多い。どのように聞かれても答えていけるような多面的な練習が必要である。
5. 数のやりとり
同数からやりとりした場合の差がいくつになるかの問題は、まだ完璧でない。特に2個以上のやりとりで間違えるケースが目立つ。

以上、「未測量」「位置表象」「数」の3つの領域について、今現在も抱えている問題を列挙しましたが、次回は「図形」「言語」「生活 他」の領域についてお伝えします。この夏の頑張りが必ず秋の試験で生きてきますので、苦手な領域を作らず、自信を持って取り組むことができるよう、ぜひ、繰り返し練習してください。最近のテスト結果を見ると、順位の入れ替わりが目立ちます。月齢の低い子が頑張り始めた証拠です。その意味で夏は「逆転」の時期でもあります。まだまだ伸びる可能性がありますので、頑張ってください。

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