ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

夏の学習を合格にどうつなげるか

第346号 2012/7/6(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 7月に入り、いよいよ入試にとって大事な夏季講習会が始まります。夏の学習をどう合格につなげるか、何を夏の課題にすべきか、そしてその後に続く直前2カ月間をどう乗り切るか。受験生にとって最大の山場になる夏の学習法をお伝えするセミナーを7月1日に行いました。会員のみならず、一般の方々も大勢参加され、関心の高さを示していました。

ひまわり会 合格カレンダー連続講座
「夏休みの学習を合格にどうつなげるか」(7月1日(日)開催)
  1. 受験生にとって「夏」の意味
  2. 領域別学力チェック点検項目
  3. 夏の学習モデルプラン
  4. 夏以降見られるマイナス変化を未然にふせぐ
  5. 一番良い状態で入試本番を迎えるために

受験生にとってこの夏は、
 1. 学力総点検
 2. 基礎反復練習
 3. 過去問・難問トレーニング
の3つはどうしても欠かせません。そのために、どのような素材を使って、どのように学習すればよいのか・・・・それを具体的にお伝えしました。

学力の総点検は、90枚の「基礎学力点検ボード」を使って各領域ごとにしっかりチェックすることを伝えました。また、応用力を点検するために、過去問を使った「点検用問題」を用意し、それを参加者の皆さんにお配りしました。入試問題を何の脈絡もなくばらばらにやるのではなく、易しいものから難しいものに順序立てて行うことが必要です。そのためには問題の一つ一つについて、どんな能力が求められているのかの分析が必要です。その分析のないところで、手当たり次第に過去問をやっても、あまり効果はありません。ひとつの問題を解くために必要な考える力を、つぎのどの問題に発展させていけば良いのか、そうした理解が必要です。「応用学力点検ボード」については、ショップこぐまで限定販売していますが、今回はその中の典型的な問題を30枚程にまとめてみました。

前述したように、この夏は基礎学力を点検し(コラム 第299号「夏の合格対策 80のチェック項目(1)」第300号「夏の合格対策 80のチェック項目(2)」参照)、同時に難しい過去問に挑戦する時期でもあります。長い時間をかけて培ってきた基礎学力を応用力に高めるために、少し難しい問題に挑戦させ、背伸びさせることで、学力の底上げを図ります。同じレベルの問題をいくらやっても、応用力は身につきませんし、今の学力とあまりにもかけ離れた難問をやっても力はつきません。ちょっとがんばれば理解できるレベルの問題を、与え続けること・・・これが学力を高めるコツです。常に一歩先の問題は何かを把握しながら、学習し続けることが大事です。

基礎学力点検ボード
受験生にとって、この「夏」は飛躍の夏にしなければならないはずなのに、やり方次第ではこれまで培ってきた意欲と自信を壊してしまう夏にもなりかねません。夏の学習がプラス面だけでなく、マイナス面も持っているということをしっかり認識して、夏の学習計画を立てなくてはなりません。

マイナス変化が起こるとしたら、次のようなところに大きな原因があります。

  1. 夏の生活が受験勉強一色では、その反動が必ず9月にやってくる。良く遊び良く学びを実践することが大事
  2. 母子関係のあり方が、子どもに必要以上にプレッシャーを与え、評価を気にしたり自分で考えることを放棄してしまう。怖い先生役を母親が演じ、母子関係が良好に保てなくなれば、結果は明らかである
  3. 生活面で問題を抱えている子が、学習面でうまくいくはずはない。生活面で解決すべきことを、そのままにして勉強だけに没頭しても、なんの解決にもならない。生活の中で意欲と自立心を育てることをしなければ、学力は伸びない
  4. 時間がなく焦るあまり、子どもに無理な要求をし、それが結果的に自信喪失につながるケースがたくさんある
  5. 子どもの学力が心配な余り、塾の掛けもちをやり、違った教え方の中に子どもを入れてしまうと、これまで積み上げてきた学力が崩されてしまう。例えば、暗算練習を相当やってきた子に「あなた方は小学生ではないので、手の指も足の指も何でも使えるものは使いなさい」など、とんでもない教え方をされると、せっかく積み上げてきた暗算能力が、一瞬にして壊されてしまう。指導法は一つにしないと、子どもの混乱は増すばかりである
  6. 夏以降、生活のリズムを変えるようなことは、好ましくない。朝型にするには、今から朝型に変えておく。直前の変化は、子どもに余分なプレッシャーを与えることになるので、「こうしたい」という希望があれば、今から実行すべきである

夏に家族一丸となってがんばっても、それが結果として子どものやる気を削ぎ、自信や意欲をなくしてしまうようなことがあってはなりません。大人がよしとしてがんばった結果が、子どもにとってはマイナスだということもありうるということを知った上で、その子に一番ふさわしい夏の過ごし方・夏の活用法を考えてあげてください。

なつのがんばり島

PAGE TOP