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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

第7回女子校合格フェアを終えて

第290号 2011/4/29(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 第7回目を迎えた今年の女子校合格フェアは、当初4月17日と24日の2回にわたって行う予定でしたが、地震の影響で予定していた外部施設が使用できなくなり、17日は中止し、24日のみの開催となりました。今年のテーマである「親子でめざす秋の合格」に沿って、午前・午後の2つの代表セミナー、および学校別合格対策講座と並行して行った学校別セミナーを無事終了することができました。また、この日から「学校別 過去10年間の入試問題資料集」の販売を始めました。昨年から刊行をはじめた「教室指導者からのメッセージ」は、今年は早めに準備を始めた関係で、主要女子校10校分が用意できました。また、それと連動して、学校別に10年間の問題を集めた「過去問とっくん」もでき上がりました。

午前中に行った「年中から始める小学校受験対策」では、教え込みの「間違った受験対策」に陥る原因を分析し、「正しい受験対策」とはどうあるべきかを、次のような観点でお伝えしました。

「年中から始める小学校受験対策」
1. 入試の現状と課題
今、何が問題になっているのか

2. どんな能力が求められているか
入試問題の変遷と、現在の入試の傾向

3. 間違った受験対策にならないように
(1) 間違った受験対策はなぜ起こるのか
  • 情報が開示されていない
  • 業者側の思惑による情報操作・噂話の流布
  • 幼児教育の専門家でないものが、簡単に参入できる小学校受験
  • 子どもの発達 ・理解の道筋 ・学校側の出題意図が分かっていない素人
  • 結果を急ぐ母親 ・ペーパー主義の横行
  • 公開模試で出される、根拠のない難問
(2) 学校は訓練された子どもは求めていない
  • 子育ての総決算としての入試
  • 行動観察で自由遊びが重視される背景
  • 訓練ではレディネスになりえない
  • 訓練によって、自由な発想・柔軟な思考力は育たない
(3) まともな幼児教育こそ、合格への近道
  • 子どもの理解度に合わせた、学習計画
  • 学びの系統性を踏まえた学習
  • 方法としての事物教育
  • 具体から抽象への授業方法
  • 考える力を育てるには、物事への働きかけや試行錯誤の時間が必要
(4) 事物教育と螺旋型系統学習の実践
  • こぐま会セブンステップスカリキュラム
  • 教科前基礎教育・事物教育・対話教育
  • 合格カレンダーの実践

また、参加された皆さまに「受験準備を始める前に知っておいていただきたいこと」と題した「心得帳」をお配りしました。それは以下の内容で構成されています。

 1. 間違った受験対策で子どもをつぶさないようにしてください
 2. 入試のための学習は特別なものではありません
 3. 学力だけでは合格できません
 4. 正確な入試情報を得ること
 5. 基礎学習に時間をかけてください
 6. 小学校入試は家族一丸となって取り組む課題です
 7. 第一志望校を早く決めてください
 8. 合格を目指す以上、徹底して取り組んでください
 9. 家庭の温かさを大切に
10. 受験を子育ての良いチャンスに

これから受験準備に入る年中の皆さまには、ぜひ正しい方法で幼児期の基礎教育に臨んでいただきたいと思います。

ところで、午後に行った「お父さまのための小学校受験対策講座」では、情報を得にくい父親のために、第1志望校や併願校の決め方を、具体的な日程資料と実際に受験した会員の併願記録を提示し、学校選びの基本をお伝えしました。また、実際の入試の難しさを実感していただくために、雙葉小学校の入試問題を中心に、子どもになったつもりで4~5問解いてもらいました。そうした問題を通して、ペーパーだけの過去問トレーニングに象徴される教え込みの教育では対応できない事、本当の意味で「考える力」が身についていなければ解決できないということを実感されたはずです。参加された皆さまには、「残り半年間 合格のための学習法」と題した小冊子をお渡しし、これからの半年間で直面するさまざまな問題の解決法を、具体的にお伝えしました。

 1. 答えの根拠を説明させること
 2. 暗算能力をどう高めるか
 3. 話の内容理解に大きな変化が
 4. 初めての問題に対処するために
 5. 夏に鍛える
 6. 論理を育てる
 7. 模擬テストの活用法
 8. 予想問題を考える
 9. 9月からの学習について
10. 本試験を一番良い状態で迎えるために
11. なぜこの時期にやさしい問題を間違えるのか
12. 言語領域の出題に注目

基礎が固まった連休明けから、いよいよ過去問トレーニングが始まります。これまで事物教育で積み上げてきた「考える力」を、より強固なものにするためにペーパートレーニングを強化しなくてはなりません。基礎がしっかりできているからこそ、自分で考え、自分の力で解決することができるでしょう。その経験が、「はじめての問題」にぶつかった時、生きてくるはずです。親の焦る気持ちが、教え込みの間違った受験対策の一番の原因です。だからこそ、これまでの積み上げを信じ、答えの根拠をいつも問いかけていく「対話教育」の実践がますます大事になっていくでしょう。本試験を一番良い状態で迎えられるよう、正しい学習を心がけてください。

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