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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

しっかりとした学習計画を

第261号 2010/9/24(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 「小学校入試を正しく理解する連続セミナー」の3回目を9月23日に行いました。来秋受験される年中児の皆さんに、これから1年間どんな考え方で受験準備をすべきかを、さまざまな角度から分析しお伝えしているセミナーですが、今回は「入試問題の分析と1年間の学習計画」と題し、最近の入試問題の傾向を踏まえ、どんな学習をどんな順序ですべきかをお伝えしました。入試情報の開示が学校側からほとんどない現状にあって、子どもの発達や教科の系統性を無視した間違った受験対策がはびこっています。間違った受験対策でつぶされていく子どもや家族を何とか救いたい、まともな考え方・まともな基礎教育で受験に通用する学力を育てたい・・・・そんな想いでこの38年間現場指導に携わってきました。その一つの結論が事物教育を重視した「KUNOメソッド」であり、学習の順序性を重視した「合格カレンダー」の実践です。そうした考え方の根拠を、今回は具体的な入試問題の分析を通しお伝えしました。今学校側が何を求めているのかを明らかにし、まともな幼児教育の実践こそが、その期待に応えるものだということをお伝えしました。

ところで、私が現場指導に携わったこの38年間の入試を振り返ってみると、入試の内容や方法が4回変化しています。

1. 知能テストで入試が行われた時期
2. ペーパーテストが大量に課せられた時期
3. 具体物を使った個別テスト中心の時期
4. 思考力が求められる問題と行動観察重視の現在

なぜこのような変遷を遂げたのか、それぞれに理由があります。1から2への移行は、受験者が大量に増えた事。2から3への移行は、受験勉強が過熱した結果、不適応を起こす子どもが増え、専門家から「幼児教育が危ない」といった警告が発せられたことを受け、学校側が反省したこと。また3から4への移行は、学校側が試験に充てられる日数との兼ね合いで3の方法がとれなくなり、少ない枚数のペーパーと行動観察で試験をしようと考えていること。また、一方で日本の子どもたちの学力が危ないという現実の中で、本当に身に付いた思考力を見たいという想いと、入学後の成長のために必要な資質をペーパー以外のテストで見たいと考えていること。こうした背景があって、現在の入試方法が定着しています。

では、最近の思考力が求められる問題とは何なのか。今回のセミナーでは、実際に出された入試問題を詳しく分析をすることを通して出題意図を解説しました。そのうちの何問かは実際に解いていただき、何が難しいか、どう教えたらよいのかを一緒に考えてみました。それぞれの問題の意図と、それに取り組む子どもたちが「どこで間違えるのか」「何が難しいのか」をしっかり把握してこそ、学習方針が立つのです。それをしないで、ともかく過去問トレーニングを・・・では、子どもはつぶされていくだけです。

教科書もなく、入試に関する正しい情報も開示されていない現在の小学校入試を初めて経験される方にとっては、本当に見通しが立たず苦労されることと思います。その暗闇の中で一筋の光を見つけ出すためには、問題分析を通して学校側の意図をしっかり把握すること、そして子どもの成長を信じ、きちんとした学習方針を打ち出すことです。その具体化を「こぐま合格カレンダー」として参加者の皆さんに提示しました。

こぐま合格カレンダーの実践
11月~4月基礎段階の学習(ステップ1~4)
5月~7月応用段階の学習(ステップ5・6)過去問対策スタート
8月夏休み過去問・難問への挑戦
9月~10月総仕上げ(聞き取り・スピードトレーニングを含めて)
自信を持って本試験へ
5月連休までに基礎を固め、7月夏休み前までに入試で問われている単元の学習を終える。夏休みに難しい過去問に取り組み、直前2か月間で総仕上げの学習をする。

ともかく、何の方針も持たず、学習のはじめからただ過去問に取り組むような無理な対策だけは取らないよう重ねてお願いしました。形を教え込む訓練では今の入試の実態に合っていないことを、具体的な問題を通してご理解いただけたと思います。

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