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週刊こぐま通信
新聞連載コラム「幼児教育に新しい風を」

第6回「図形学習」
-遊び通しセンス磨く-

こぐま会代表  久野泰可
 現在行われている小学校の図形教育を見ると、その貧弱さに驚くのは私だけだろうか。低学年で平面的な基本図形について学んだ後、高学年になって突然面積や体積が出てくるため、苦手意識を持つ子は多い。

就学前の子どもたちが一番集中し、楽しく学べるのが「図形」課題だろう。さまざまなパズル、積み木や粘土を使った立体学習、展開図を使っての制作、折り紙を使っての対称図形の学習など、遊びながら学べる課題が多いからだ。

積み木やパズルを使って見本と同じ形を構成したり、粘土や折り紙で実際に作ったりするプロセスがとても大事なように思う。喜々として取り組む子どもたちの様子を見ていると、遊び感覚で楽しみながら、素材に働きかけていく活動の中で、図形学習で求められる感覚が身についていくのではないかと感じる。

小学校でももう少し工夫し、実物を使った図形教育が行われれば、高学年になって急に難しくなる図形課題で自信を失うことはないのではないか-。こんなことを考えながら、幼児期における「図形遊び」をいろいろ工夫してきた。

最近試している図形遊びに「山手線ゲーム」と呼んでいるものがある。例えば、8個の立方体積み木で作った形を駅に見立て、見本を見ながら、その中の1個だけを動かして「次の駅」を作る。それを繰り返しながら、次々と駅の形を変化させ、最後には元の駅(形)に戻る- というゲームだ。

どの積み木を動かせば、次の形ができるか。変化した部分と変化しない部分をしっかり観察して形を作り上げるこのゲームは、かなりの思考力が必要とされる。積み木遊びを通して、考える力を身につける良い活動例だ。このように、図形教育は、知識を増やす内容から、センスを育てる方向へ転換すべきだと思う。

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