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週刊こぐま通信
新聞連載コラム「幼児教育に新しい風を」

第7回「国語の基礎」
-「聞く・話す」力を育成-

こぐま会代表  久野泰可
 小学校における国語科の指導要領では、学ぶべき内容を四つの柱で構成している。すなわち「聞く」「話す」「読む」「書く」- という力だ。

昔から「読み・書き・そろばん」と言われるように、文字の読み書きは、国語教育の基礎だと考えられてきた。そのことに間違いはない。しかし、それが強調されるあまり、「聞く・話す」力の育成がないがしろにされてはいないか。母国語なら、あらためて教育の対象にしなくても、自然と身につくと考えられている面もある。

しかし、今多くの幼児や児童が抱えている問題は、文字の読み書きは早い段階でできているにもかかわらず、「聞く・話す」力が劣っていることだ。人の話を一度で理解できない。自分の考えや感じたことを、言葉で表現することが苦手である。特に、結論は言えても「なぜ」という問い掛けに答えられない。

こうした実情を踏まえ、私たちは、まとまった長さのお話を聞く練習や、絵を見て話を作る練習を積極的に取り入れている。また、しりとりや、同じ音で始まる言葉を考える遊びなど「音」に着目した学習を行うことで、文字指導のための基礎作りに心掛けている。

一方で、「対話教育」を徹底し、どんな領域の学習においても、答えの根拠を必ず説明させている。ものの見方・考え方を身につけると同時に、生活で身につけた「ことば」を、概念を表す「言語」にまで高めるための「橋渡し」も行っている。例えば「多い - 少ない」という表現が解らなかったら「たくさん - 少し」と言い換える。「どちらがいくつ少ないですか」、が解らなかったら、「どちらがいくつ足りないですか」に置き換える- など、日常生活に即した言葉で大きさや長さを比べる学習を積み重ねている。こうした基礎の上にこそ、文字の読み書きが意味を持ってくると思う。

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