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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

図形:魔法の箱(光塩女子学院初等科)

第50号 2006/07/14(Fri)
齋藤 洋
図形:魔法の箱(光塩女子学院初等科)
A)ある形がいくつかの箱を通った時、どんな形ができるか描く。(2000年度一般)
ネコの箱を通ると右に1回転がる
ウサギの箱を通ると黒白が反対になる

B)あるものがいくつかの箱を通った時、どんな形ができるか描く。(2000年度内部)
ネズミの箱を通ると数が1つ増える
ネコの箱を通ると形が重なる

  前回、成蹊の回転推理で「問題を読み取る力」について触れましたが、今回はその典型的な問題をご紹介します。『魔法の箱』と呼ばれているものです。光塩女子学院初等科では、毎年のように魔法の箱の問題を出題していますので、その中から解説していきたいと思います。

 上記の問題は、変化の法則が文章で説明されているわけではなく、図から読み取らなければなりません。その読み取りに必要な力は、次のような領域課題の理解です。
A)ネコの箱・・・ 回転推理
ウサギの箱・・・ 色の反転
B)ネズミの箱・・・ 数の変化
ネコの箱・・・ 重ね図形

 このように分解してみると、魔法の箱そのものを練習する前に、「回転推理」「反転」「数の変化」「重ね図形」についての十分な理解が必要であることがわかります。この問題はそれらの応用・発展形にすぎません。その力が身についていなければ、変化そのものを読み取ることはできません。ですからあくまでもこの問題は、最も難しい出題形式の一つとして理解することが必要です。さまざまな基礎学習がある程度身についてからの学習方法として考えて下さい。

 問題はいずれも、まず2つの変化の例が描かれています。その変化を読み取り、3つ目の問題にその変化の法則を当てはめるのです。
 例えば A)では、ネコの箱を通った2つの例から、「右に1回転がった」ことを読み取ります。さらにウサギの箱を通った2つの例から、「黒白が反転した」ことを読み取ります。そして別の問題に取り組むのです。
 さて別の問題では、それぞれの箱1つを通るだけでなく、次のような通り方もあったようです。
ネコ - ネコ・・・右に2回転する
ネコ - ウサギ・・・右に1回転し、黒白が反転する
ウサギ - ウサギ・・・黒白が反転し、さらに黒白が反転する(元に戻る)

 このタイプの問題の大きな目的は、変化したあとのものを考えるということです。しかし何度も言うように、重要なのは、『変化の法則性の読み取り』そのものです。初めにその法則を読み違えていたら、どんなに一生懸命考えても正解はでてきません。あるいは一応できたつもりでも間違った答えになります。このような読み取りの問題は、最近の入試問題にはいろいろな形で出題されています。さまざまな領域学習の基本を「ひとりでとっくん」の各問題で身につけたら、このようなタイプの出題方法も十分に練習しておきましょう。「ひとりでとっくん 魔法の箱」には、十分に力がついてから取り組んでください。

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