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週刊こぐま通信
「テスト通信」

テスト結果解説
「総合力判定テスト 応用1」より

第03号 2022年5月17日(火)
こぐま会テストセンター
 4月3日(日)に年長児対象「総合力判定テスト 応用1」を実施しました。今回は「応用」ということで、総合力判定テスト基礎1・基礎2と比べるとさらに点数が取りにくい内容ですが、このテストで点数が取れていれば、領域ごとの理解が深まっているとともに、お子さま自身の力もかなりついているように思います。また、このテストには毎回行動観察が含まれていますが、いろいろな教室やお友だち、課題に慣れておくことは入試本番に向けた非常に重要なポイントになります。いつもと雰囲気が違うために、主張ができなかったり消極的になってしまう、また先生の説明に集中していないので作業の流れがわからないといった子どもの様子は、テストではよく見られます。毎回のテストでチェックがついてしまうお子さまは、今のうちから対策を考えておくことが大切です。
前回お伝えした「総合力判定テスト 基礎2」と同様に、今回もテスト返却の際にお渡しした資料「分析本」より、テスト受験者に向けた学習についてのメッセージをご紹介いたします。

今回実施したテストの平均点は100点満点中63.3点という結果になり、テストの正解率は以下のようになりました。
  • 個別テスト
    未測量:64%
    位置表象:70%
    数:52%
    図形:38%
    口頭試問:97%
  • ペーパー:53%
  • 行動観察:80%
出題した領域の中で、特に正解率が低かったのが「数」と「図形」という結果になりました。「数」領域からは、「一対多対応の複合問題」を出題しましたが、3問ある中で乗り物のタイヤの数を答える問題が特に難しかったようです。「車が台、自転車が台、三輪車が台ありますが、タイヤの数は全部でいくつでしょうか?」という問題でしたが、おはじきを使って考えてもよいということを子どもに伝えています。3種類の乗り物をイメージできれば正解できるはずですが、正解率は35%でした。乗り物ごとにまとめておはじきを出した子どもが半数以上でしたが、間違えた子どものほとんどが、乗り物の台数をしっかり聞き取れていないことがわかりました。また、頭の中で暗算して全体数を出し、その数だけおはじきを出そうとした子どももいました。しかし時間が間に合わなかったり、数え間違いをしたりして、正解できなかったケースも多く見られました。単純に、自動車分、自転車分、三輪車分というように、しっかり乗り物と台数の聞き取りができ、順番におはじきを出していけば、おそらく制限時間に十分間に合い、正解が得られたはずです。

「図形」領域からは「立方体つみ木の構成」を出題しました。いくつかのつみ木のパーツ(下図右)を組み合わせて、完成見本(下図左)をつくるという課題です。9個の立方体が積まれた完成見本は、正面から見た面にだけ色が塗られています。感覚的には3×3の方眼上に配置された色の構成といえますが、つみ木のパーツは2~5個がくっついているため、色の配置を考えながら構成しなくてはなりません。そのため、苦戦している子どもが多く見られました。

構成する上での大切なポイントは以下のとおりです。
  1. 構成の基本である大きい形から考えようとしているか
  2. つみ木の向きを自在に変えられるか(回転させて考えることができるか)
苦戦している子どもの様子を見ていると、このどちらかがスムーズに行えていないケースが多いように思われました。
時間内に全ての組み合わせ(3種類)で構成できた子どもは全体の21%でした。その他の結果は以下のとおりです。(今回は完成見本と同じ色の見え方になるように伝えているので、見本と同じつみ木の積み方ができていても、色の見え方が正しくない場合は無得点としています。)
  • 2種類・・・14%
  • 1種類・・・33%
  • できなかった・・・32%
どんな課題でも、その取り組み方はとても重要な評価の観点になります。子どもにとって難しいと感じられる課題であればあるほど、子どもの取り組み方には差が出てきます。1分間の時間制限の中で、時間いっぱいまで一生懸命つみ木を動かしてがんばっていた子どもは、たとえ今回ひとつも完成していなかったとしても、今後できるようになる可能性は感じられます。ただし、今回はそのがんばりの様子にも差が見られました。できなかった時につみ木を回転させたり、別のつみ木を組み合わせたり、見本の形を意識しながら作業を進められた子どもがいる一方、作業をしていても同じつみ木をずっと触っていたり、つみ木を回転させたりすることがスムーズにできていなかったり、全く見本の形を意識できていないと感じられた子どももいました。明らかに経験が足りない印象です。同じ部分と違う部分を確認しながらつみ木を回転させたり、組み合わせたりする力は、今後ペーパーでの図形構成・回転図形・同図形発見などにも必要になってきます。

「行動観察」では、「街づくり」を行いました。4~5人ずつという小グループ内での取り組みの様子を確認しました。全体を2つのグループに分け、グループごとに先生から指定された場所1カ所を受け持ち、そこに何か建物を一つ建てて完成させるという内容でした。
まず「何を作ろうか」という相談から始まりますが、なかなか意見が言えない子どもと、どんどん提案する子どもの2つに分かれました。「相談」の場面において、一般的には意見を活発に述べることができる子どもが良しとされがちですが、同時にお友だちの意見にもしっかり耳を傾けることができるということも重要です。今回は「何を作るかの相談」でしたが、いかなる場合もひとつのコミュニケーションの場ですから、「気持ちだけでも参加している」「他人の話をしっかり聞いている」「話の内容を理解している」そして「最終的には合意し協力しようという気持ちがある」など、これらの点が話し合いの場面での評価の対象となります。
何を作るかが決まって制作に入ってからの動きを見ていると、グループ全体としていくつかの典型的な3パターンに分かれます。1つ目は、ごく自然にまわりの子どもたちと会話しながら動くことができる子どもが集まっていて、チームワークがバランスよく取れているグループです。これに属する子どもは日常的に集団活動の経験が豊富な場合が多いように思います。2つ目は、グループ内に1人強いリーダーがいて、あとの子どもたちはリーダーの指示通りに動かされているというグループです。リーダーに反論する子どもが1人でもいるとまた少し違った感じになるのですが、たいていの場合、指示されるままに動いてしまいがちです。そして3つ目は、引っ張り役が誰もおらず、無言のまま、ひたすらつみ木を運んできては適当に積む、というグループです。
全体を見渡してみると、今の時期、実は2つ目と3つ目のパターンが圧倒的に多いのです。まだ集団でひとつの物を作りあげるという経験がそれほど豊富でないためだと思います。幼児はそもそも年齢が低ければ低いほど個別に活動するのが普通で、年齢を重ねるごとに少しずつ自分以外の人の存在に気づき、人と関わり合い、共同で何かを作ったり遊んだりすることの楽しさを覚えていくものです。今の時期の子どもたちは、お友だちと一緒に何かをすることの楽しさをようやく味わい始めた頃だと思ってください。これからどんどん変わっていく過渡期ですので、お子さまがどのパターンに属していたとしても、当分の間見守っていていただければと思います。ただ、変わるために必要なのは、実践の機会をより多く設けることです。そのためにも今まで以上に、幼稚園や保育園などの日常生活以外の場面での集団活動の経験値は、ぜひ上げるよう心がけてください。

次回の総合力判定テストは2022年6月19日(日)に実施されます。試験範囲に関しては、毎回事前に要項でお知らせするとともに、テスト準備のための問題集(総合力判定テストトレーニング)SHOPこぐまにて販売しております。ご興味のある方はぜひご覧ください。

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