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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

数 基礎37 数の一対多対応 5 等分除と包含除

2009/6/5(Fri)
 今回は「等分除」と「包含除」の考え方の違いについてふれていきたいと思います。

わり算には2つの考え方があります。
  • 等分除 (全体量)÷(いくつ分)=(一当たり量)
  • 包含除 (全体量)÷(一当たり量)=(いくつ分)

この違いについて具体的に考えていきましょう。

(等分除の問題)
 アメが16個あります。これを5人の人にけんかしないように分けると、1人何個もらえますか?

(包含除の問題)
 アメが16個あります。これを1人に3個ずつあげると、何人の人にあげられますか?

一見同じようですが、問われている内容がまったく違います。等分除は1人が何個もらえるかを問う問題ですが、包含除は逆に何人にあげられるかを問う問題です。このことは、実際に答えを出すときの操作方法の違いに現れてきます。等分除はトランプを配るように1人1人にアメを1個ずつ配っていき、最後に1人にいくつ配れたかを考えます。これに対して包含除は1人に3個ずつあげていき、最後に何人にあげられたかを考えます。

この2つのわり算の考え方の違いをしっかりと押さえることが今後の学習の発展において大きな意味を持ちます。小学校で学習する算数は高学年になるとかなり難しくなってきます。特に5、6年生で速さと時間と距離の関係が出てきたり、割合が出てきたりするとその時点でつまずいてしまう子が多くなるのです。それは、(一当たり量)、(いくつ分)、(全体量)という数の関係がいろいろと形を変えて出てくるからです。例えば「距離」、「時間」、「速さ」の関係で言えば次のようになります。

  • (速さ)×(時間)=(距離) (例)時速4kmで3時間歩くと12kmの距離歩ける
  • (距離)÷(時間)=(速さ) (例)12kmの距離を3時間で歩いた時の時速は4km
  • (距離)÷(速さ)=(時間) (例)12kmの距離を時速4kmで歩くと3時間かかる

もうお分かりのように、この場合(一当たり量)は「速さ」(時速は1時間当たりどの位の距離進めるか)にあたり、(いくつ分)は「時間」、(全体量)は「距離」に当たります。このように、幼児のときに学んだ事柄が将来形を変えて大切な学習として出てくるのです。この距離、速さ、時間の関係でつまずいた経験のある方は多いのではないでしょうか。

算数の学習においては、一貫性、系統性が大切です。あるときはこう考え、またあるときはこう考え・・・とその時々で考え方が違ってくると子どもにとってはつらいことです。こぐま会ではこうした系統性を重んじた学習を行っています。

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