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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

数 基礎23 数の構成 10の構成 その2 暗算の勧め

2008/12/26(Fri)
 前回の続きです。「数の内面化」は、数の増減や構成などの数に関する話を聞いて頭の中で数の操作ができることです。そのことは数の問題を考えていく上ではとても大切であることをお話ししました。そして、指を使って数の問題を考えると「数の内面化」の阻害になることもお伝えしました。「数の内面化」とは、具体的に言うと「暗算」ができることなのです。そこで今回はこの「暗算」について触れていきましょう。
一口に「暗算」と言っても、どのような「暗算」ができればいいのでしょうか。もちろん「掛け算九九」などは必要ありません。10までの数の構成、数が2段階変化するもの、一対多対応の一部ができればいいと思います。暗算で問題を考えることは、初めのうちはなかなか難しく、ついつい指を使いたくなってしまうのですが、我慢して繰り返し練習していると、年長児の夏休みの時期には多くの子ができるようになります。
暗算の中でも難しいのは数の増減です。数が変化する度に今いくつになっているかを考えていかなくてはなりません。次の問題は入試レベルのかなり難しい問題ですが、これを例に暗算に必要なことと、その方法を具体的に考えていきましょう。

(例題)
 太郎君と花子さんは幼稚園で遠足に行きました。太郎君はアメを8個持って行きました。バスの中で3個なめましたが、お友だちから1個もらいました。花子さんは10個持って行きました。バスの中で4個、お昼のお弁当の後に2個なめました。残っているアメはどちらが何個多いですか。

太郎君は、8個のうち3個なめましたから5個残っています。そこにお友だちから1個もらったのですから6個になります。花子さんは、10個あって4個なめたのですから6個残り、そこからさらに2個なめてなくなったのですから4個になっています。ここで、太郎君の残り6個と花子さんの残り4個を比べると、太郎君の方が2個多いことがわかります。これだけの数の操作を頭の中で行っていくことは難しいことです。しかし、入試直前になるとこうした問題がすらすらできる子はたくさんいます。では、そうした子はどのように練習したのでしょうか。もちろんはじめからできるわけではありません。
これができるためには、次のような能力が必要とされるのです。

1. 話を正しく聞き取り、数が減る場面か増える場面かを的確に判断できる
2. 数の変化に合わせて、その都度数がいくつになっているかを早く正確に理解できる
3. 2つのものを比較して、どちらがいくつ多いか少ないか早く正確に判断できる

つまり、聞き取りの能力と数の操作能力が同時に問われているのです。この聞き取りの能力についてはまた別の機会にお話しするとして、ここでは数の操作について考えていきましょう。数の操作ははじめから頭の中だけではできません。まずは物を媒介にして行います。この場合の物はおはじきが適切です。一つ一つの場面に沿っておはじきを出したり入れたりして、数がいくつになっているのかを考えてください。
上の問題の太郎君の例で考えてみましょう。太郎君ははじめにアメを8個持っていたのですから、おはじきを8個出しておきます。「バスの中で3個なめた」と聞いた段階で数が減ったことを理解して、8個から3個を取ります。さらに、「お友だちから1個もらった」と聞いたときに、数が増えたと判断して1個増やします。はじめはこのように変化するごとに、1回ずつおはじきを出し入れして考えます。それがスムーズにできるようになったら、今度は初めに持っていた数の8個だけ出しておいて、その後2回の変化をまとめて聞いておはじきを出し入れします。さらにそれもできたら、はじめにおはじきをまったく出さない状態から、お話を全部聞いて、おはじきを出し入れして答えを求めます。このようにおはじきを操作する段階から、理解度によってやり方を変えていったらいいでしょう。
しかし、ここからすぐ暗算には進めません。ここではまだ扱う数が多すぎます。暗算がスムーズにできるためには、次の2つのことが必要です。

1. 扱う数を減らす。
2. 数の構成を十分に練習する。

 数が大きい(8、9、10など)と、なかなか暗算で答えることができません。数の増減による変化をしっかり捉えるという観点であれば、扱う数を少なくして暗算練習を行ってください。できれば5以内の数で練習をするといいでしょう。大きい数でも暗算ができるようになるためには、それぞれの数の構成がきちんとできることが前提です。上の花子さんの例では、初めに10個のアメを持っていますから、10の構成が問題になります。
 今回は「数の内面化と暗算」について触れたため「数の構成」からやや離れてしまいました。次回は大切な「10の構成」を暗算で行っていく方法についてお話していきたいと思います。

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