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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

図形基礎 点図形をきちんと描くために (1)

2006/06/09(Fri)
 点図形は、図形領域においてよく扱われる一般的な課題です。点図形がしっかりとできるためには、さまざまな図形能力が必要とされます。点図形の難易度は、斜めの線の多さに比例してくるといえます。例えば図(1)のような課題と図(2)のような課題では、斜めの線が少し増えただけですが、子どもにとっては明らかに図(2)のほうが難しく感じるのです。実際にテストなどに出しても、図(2)の正答率は大きく変わってきます。

図(1)、図(2)
 斜めの線が入ってくるとどうして難しくなるのでしょうか。幼児ははかけても、や◇が上手にかけません。真四角や長四角は、4つの辺全てがたてや横の真直ぐな線に囲まれています。しかし、や◇には、斜めの線が含まれています。特に、ひし形は全て斜めの線で囲まれています。子どもが斜めの線を描こうするとき、どうしても紙の横の辺やたての辺が目に入ってきます。これらの辺は真直ぐです。そこでその真直ぐなところに目が奪われて、自分では斜めの線を引こうと思っても、どうしても線が曲がってしまうのです。思考が知覚に左右されてしまうという、この時期の思考の特徴が良く現れる典型的な例です。
 したがって、この斜めの線を直線で引けるようになってくると、点図形はしっかりとできるようになってきます。しかし、斜めの線を引いていく練習として、斜めに配置した2つの線をただ結ばせるだけでは余り意味がありません。斜めの線が描けるようになるためには、自分の頭の中でしっかりとした斜めの線のイメージを持つことが大切です。また、結ぼうとする2点をしっかりと意識することも大事です。起点も大切ですが、特に、終点を意識することが必要です。
 そのための練習としてわれわれはよく次のようなおはじき並べの課題を行ないます。これはご家庭でも簡単にできますから是非練習して見てください。B4版程度の紙を海に見立て、その四隅に小さく丸く4つの島を描きます。そして島と島の間に橋を渡すという前提でおはじきをいくつか並べていきます。

図(3)、図(4)、図(5)
 この場合図(3)や図(4)のようにたてや横に並べる課題は、紙に沿って並べていけばいいのでそれほど難しくはありません。しかし、斜めに並べる課題はなかなか難しくなります。図(5)のようにたてや横の線を意識してしまい、少しずつ曲がってきてしまいます。ここで、起点から並べるとき終点をしっかりと意識して、そこに向けて真直ぐに頭の中で斜めの直線をイメージして並べていくことを心がけてください。また、並べ終わったら本当に真直ぐになっているかどうかを反対に終点から起点を見ることで確認をしてください。こうした練習を繰り返し行ってから、斜めの線を多く描いていく練習をすると、きちんと斜めの線が引けるようになってくるのではないでしょうか。

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