ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問54】

2007年8月23日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 家で子どもの面接の練習をしていますが、どんな点に注意したら良いかアドバイスをお願いします。

 子どもの面接を通して学校側は何を見ようとしているのかを考えてみれば、おのずから対策のポイントはわかってくるはずです。何をどう答えたかの内容に評価の基準があるのではなく、答えた内容や答え方を通して、どんな育てられ方をしてきたのか、母親との関係はどうであるのか・・・総じて子どもを取り巻くバックグラウンドを探りたいという思いが学校側にはあるはずです。「母親のことを、お母さまと言わなければだめなのか」ということをよく質問されますが、それは、どんな言い方が良いか悪いかではなく、身についた言い方であるのかどうか、そこに子どもの気持ちがこもっているのかどうかが問われます。試験のために「お母さま」と訓練してきた子はすぐにばれてしまいます。そんなトレーニングを学校側が好むはずはありません。母親と子どもの関係が良好であれば、身についた言い方が一番良いのです。

 子どもに対する質問内容は多岐に渡っていますが、どんな内容かは過去の資料に当たってみれば一目瞭然です。面接の仕方はさまざまですが、子どもに対する質問内容は、大体どの学校でも同じようなものですので、過去問を見て練習すれば、それで十分です。その際大事なことは、子どもらしさを失わないように、あまり答え方を教え込まないことです。自分で考えて判断し、答えられるようにならないと、ちょっとした言い回しの違いで、子どもが戸惑うことが良くあるからです。

 そして大事なことは、最近の面接は試験官が質問し、子どもが答えて終わり、という昔のパターンではなく、子どもが答えた内容に絡めて次の質問がなされるということです。つまり、会話形式でやり取りが続くため、そこで予想もしなかった質問が飛び出すということもあるのです。この点が最近の新しい傾向だと思います。会話力がどれだけ身についているかを見ようとしているのでしょうが、私の経験では、パターン化された質問には答えられても、会話形式で続くやり取りについていけないという子どもをよく見かけます。特に、答え方を教え込まれた場合にはそれが多いようです。

 国語力に力を入れるという方針が国家の教育方針で打ち出されたことを考えると、話す力を点検する意味で、こうした面接はますます重視されていくはずです。ですから、質問内容を100並べてトレーニングする前に、今日幼稚園や保育園であったことをお母さんやお父さんにお話しするという時間を大事にすべきです。その際、お母さんもお父さんも、真剣に聞いてあげることです。そうした経験を抜きに、面接練習を繰り返しても、会話形式で進んでいく今の面接には十分対応できません。

 それでなくても、今の子どもたちは、自分の気持ちや考えを、言葉で表現することが苦手です。ですから、入学後の最初の保護者会で、どの学校でも、「1日30分でも良いですからお子さまと面と向かって会話してください」というのです。それだけ、今の子どもたちの会話力に学校側が危機感を持っているのです。そうした流れで考えれば、「こう答えなくてはだめ」式の面接特訓では、学校側の求めていることに応えられないということになります。そうした作られた答えには、子どもらしさがどこにも見られません。これでは困るのです。豊富な会話経験が土台にあってこそ、自然と受け答えが出来るし、そのことが、子どもが育ってきたバックグラウンドを学校側に伝えるよいチャンスになるのです。

PAGE TOP